第6話 静岡居住区(ハ)

 俺とリサはNPC狩人組合静岡本部から出て、空腹の限界を覚えつつ静岡武装ディーゼル機関車駅前のターミナル広場へ歩いていった。武装ディーゼル機関車駅は物品搬入口と一般利用者出入口があって、そのどちらもひとの列ができていた。出入口で日本皇国軍の簡単な身体検査を受けないと駅に入れないから流れは滞りがちだ。そこへ皇国軍関係者や再生機構関係者、それに民間の業者がめいめいの車で乗りつけるので駅前はいつ来ても混雑している。震災後に寸断された区外の道路の復旧はNPCの妨害もあって進んでいない。NPCのバード・ストライク攻撃が頻発する今の日本上空で空路を使うのは難しい。日本皇国軍の運営で東海地方を東西に走る武装ディーゼル機関車は日本で唯一と言っていい安全な移動手段になっている。俺もこの武装ディーゼル機関車で西から静岡居住区まで流れ着いた。

 駅前ターミナル広場は客足を見込んで露店が多く、それがまた駅前の混雑へ拍車をかけている。元々商店街として広がっていた南の区画が北方にあるこの駅前へ侵食してきたような形だ。

 俺とリサは、その駅前のターミナル広場のベンチで今日の昼めしを食っている。

 昼飯は屋台で購入したカツオサンドだ。

 俺はカツオサンドを包んでいた油紙を道端へ放り投げて、

「おい、リサ」

 リサは俺の隣に座っている。

「――!?」

 リサはずっと手にしたカツオサンドを睨んでいた。

 今は俺を睨んでいる。

「食わないのならこっちへよこせ。それだって安くはなかったんだ」

 俺は言った。カツオサンドを一個程度を完食しても、大の男の腹八分目にも達しない。リサはかつをサンドに慌てて噛みついた。

 溜息を吐いた俺は炭酸飲料の缶に口をつけた。これは汚染前から――俺が生まれる前からある赤い缶詰の炭酸飲料だ。甘いものが嫌いな俺でもこれだけは嫌いになれない。

 今日の昼食は、にんにくとマスタード、それにマヨネーズのソースをたっぷりかけた魚のステーキ――カツオのステーキをパンで挟んだものにした。今の日本では肉類の供給量が極端に少ないので、肉を使ったハンバーガーは値段が高い。だが、大規模な漁港がある焼津居住区が近い静岡居住区は魚類が安く手に入る。魚を使った料理は比較的に安上がりだ。このカツオサンドを選んで購入したのも安かったからだった。

 それでも、このかつをサンドは区民消費税もろもろ込みで千八十円もした。

 リサが手にしているのは千二百八十円だった。

 リサがモグモグやっているカツオサンドは、チーズ入りで俺が食ったものよりも少し値段が高かった。屋台の前でリサがものすごいワガママを吠えたので(喋れないリサは暴れただけだが――)俺は面倒になって最終的に折れた。その上で缶入り炭酸飲料を買って値段が二本で七百二十円。外食は屋台を使っても懐を削る。

 俺が顔をしかめたまま眺めていると、リサはカツオサンドを綺麗に食い終わった。

 カツオサンドが気に食わないわけではない。

 と、いうことは――。

「――リサは奴隷扱いが不満なのか?」

 俺は訊いた。

「!」

 リサが俺を睨んで深々と頷いた。

「諦めろよ」

 俺は顔を正面に向けた。

「!?」

 リサは俺の胸倉を両手で掴んでぐわんぐわん揺さぶった。顔を真下に向けているのでわからないのだが、たぶん、リサは怒り心頭の形相なのだろう。

「しつこいな――」

 俺は揺すられながら呻いた。

 ガバッ、と顔を上げたリサが、駅前を行き交うひとびとを次々と指さしたあと、最後に自分自身を指差した。

 リサは自分の鼻先に人差し指をつけてそのまま俺を睨んでいる。

 少し考えたあと、

「奴隷制度の説明をしろってことか?」

 俺が訊くとリサはぶんぶん何度も頷いた。

 確かに区外の集落で生きてきたリサは知らないだろうな。

 俺はひとつ溜息をついて言った。

「今ある奴隷制度の大元は、ロシア極東軍だとか人民解放軍のやっていた人身売買だ。それを日本再生機構でも採用した。静岡居住区を囲んでいる障壁をお前も見ただろ。障壁で囲われた指定居住区はNPCから防衛されている。この防衛を担当しているのは日本NPC狩人組合――再生機構の下部組織から依頼を受けた組合員――俺みたいなNPC狩人だ」

 俺が言葉を切って視線を送ると、缶入りの炭酸飲料を両手で包み込むようにして飲んでいたリサが頷いて話を促した。

「居住区にある電気・ガス・上下水道は日本再生機構の手で管理されている。だが、見ての通りだ。今の日本では生活インフラの維持に馬鹿高い値段がつく。水道や下水道や電気・ガスの使用料、所得税やら区民税やら人頭税やら区民消費税やら諸々――とにかく区を管理する日本再生機構が請求する税金を払い切れる奴しか居住区には住めない」

 リサが俺のジャケットの袖を引っ張った。

「何だ?」

 俺が目を向けると、リサが自分の鼻先をしきりに指差していた。

 わたし、

 わたし、

 わたし、わたし、わたし――。

「――ああ、そうだ。再生機構の役所で金を払って住民票を買えば、リサだって居住区に住める。だが、再生機構の役所へ五百万円の金をお前は即金で払えるのか?」

 俺は言った。

「――!」

 リサの目がまん丸になった。言葉が喋れない所為なのか、リサの表情の変化とリアクションはいちいち大袈裟だ。

「その金額で頭金だぜ。そのあと、税金の支払い能力や区民適性審査もある。お前、金も仕事もないだろ?」

 鼻で笑った俺が言うと、さっと立ち上がったリサが駅前を行き交うひと――スーツをきた複合企業体の出張組だとか運送屋だとか商店や露店でモノを売っているひとを次々と指差したあと、自分自身を指差して地団太をぱたぱた踏んだ。

「――お前が働いて金を稼ぐ? できるわけがない。喋れない上にその貧相な身体だ。必死に身をひさいだところで、とても税金の支払いが追いつかんよ」

 俺は自分の耳で聞いても、呆れた声だった。

 俺の顔もよほど呆れているだろう。

「!?」

 リサがまた俺の胸倉を掴んで強く揺さぶった。

 その動作をしながら、やっぱり顔を真下に向けている。

 必死だ。

「お前、本当に執念深い性格だな――そもそも、身体に何かの障害があるだけでも区民適正なしの判断なんだ。だからリサは区民の適正なし。お前は区民失格」

 俺はリサの後頭部を眺めながら言った。

「――!?」

 リサが赤らんだ顔を寄せて俺を睨みだした。

 俺の耳の真横だ。

 鼻息がふんふん荒い。

 歯ぎしりの音が俺の耳元でギリギリと聞こえる――。

「――俺を睨むな。俺の判断じゃないぞ。再生機構はそう判断しているって話だ。お前、どういう理由なのかは知らないが全然喋れないだろ?」

 俺はリサの手を身を捩って振り払った。

 リサは俺の横へおしりをドスンと落とすと完全にそっぽを向いて不貞腐れた。

「――とにかく、再生機構が指定した居住区に住めるのは――まあ、たいていの居住区は、東海道本線の駅周辺にあるんだが――とにかく、その居住区に住めるのは金持ちだけだ。大農工場メジャー・ファーム関係のエリート・サラリーマンだとか、日本再生機構の審議員だとか職員だとか、狩人組合のお偉いさんだとか、東海任侠連合会ヤクザの連中だとかだな。あとは皇国軍の関係者もだ。何にしろ許可なく外部から居住区へ流入した人間は誰しもが奴隷として扱われる。それが指定居住区内の法律だよ」

 俺はできるだけ丁寧に説明したつもりだが、そっぽを向いたリサの反応はない。

「気に食わないか?」

 俺が訊くと、そっぽを向いたままリサは強く頷いた。

「まあ、お前の立場からすると理不尽な話なんだろうが――」

 俺は赤い缶入りの炭酸飲料を飲み干して、

「この奴隷制度が開始された当時の目的は居住区の入場制限だった。人数に制限を設けないと貧弱な居住区の生活インフラはあっという間にパンクする。今でも静岡居住区は人口が多すぎて生活インフラ維持の限界が近い。もっとも、東海地方にある武装ステーションの界隈はみな似たような状況らしい。簡単に言えば居住区に住む人間は区外から来る人間が邪魔なんだ。区外を徘徊しているNPCどもと同様だな――」

 俺は足元の汚れた路面を見つめていた。

 リサは横目で視線を送ってくる。

「区外から来たお前が居住区で奴隷として扱われる理由、これでわかったか?」

 俺が言うと、リサは瞳を伏せた。

 納得したかどうかはわからない。

 しかし、自分の置かれている状況が理解できたのだろう。

 会話が途切れた――と言うと語弊がある。

 リサは喋れない。

 ともあれ、リサが大人しくなくなったとろろで、

「そろそろ行くぞ」

 俺は声をかけながら立ち上がった。

「?」

 ベンチの上のリサは視線だけを動かして俺を見上げた。

 どこへつれて行くつもりなの?

 リサはそんな顔つきだ。

「医院と再生機構の役所だよ。医院でお前の健康診断をしたあと、役所でお前の奴隷証明書を発行してもらう」

 俺は告げた。

「!?」

 リサがわかりやすく不機嫌な顔になった。

 腰を上げる気配もない。

 断固拒否の態度に見える。

「――リサの首の入れ墨な」

 俺は自分の首筋を指差した。

「?」

 リサが眉を寄せた顔を傾けた。

「今から美容整形外科で綺麗に消してやるよ」

 俺は言った。

 リサは座ったまま視線を落として迷った様子を見せていた。

 辛抱強く待っていると、リサはのろのろベンチから立ち上がった。


 §


「――お客さんねェ。日本皇国軍の奴隷刻印を消すのに関わると色々と面倒が多いからねェ。どうしましょうかねェ。コレはねェ、面倒だよねェ?」

 診療室だ。

 ハゲワシのような年寄りの美容整形外科医は、リサの首元と俺を交互に見やりながらゴネ続けた。

 足元を見られている。

 俺のほうからだってあれこれと言ってみた。

 しかし、ハゲワシ医は断固として譲らなかった。

 入れ墨の消去は組合員が加入している健康保険の適用外だ。

 そもそも、区外出身のリサはどこの健康保険にも加入をしていない。

 四十一万二千百二十円だった。駅の東区画で営業している美容整形外科へ、リサを連れていった俺は、税込みでこれだけの金額をふんだくられた。リサの首筋にあった皇国軍の奴隷刻印は単色で小さなものだ。美容成形外科医は短時間のレーザー手術でこれを綺麗に消した。俺には入れ墨除去手術がそこまで高額な対価が必要な作業だとはとうてい思えなかった。しかし、請求されたのは四十万円を超える馬鹿高い手術費用だ。ここの他、俺の記憶に美容成形外科医はない。リサの首にある刻印を見せてしまった以上、ハゲワシ医の機嫌を損ねると皇国軍に密告されて面倒事に巻き込まれるかも知れない。俺は請求された金額を渋々即金で支払った。

 ハゲワシ美容成形外科の立派な白い建物を出たところで、

「これで、あのハゲワシも俺の共犯者だぞ。ざまあみろ――」

 俺は悔し紛れに呻いた。リサは入れ墨のあった首元が気になるようで、窓ガラスに映る自分の姿をしきりに眺めて手術跡を確認していた。

 そこに残っているのはキスマーク程度の大きさの赤い痣だ。

「この痣だって、二、三日すりゃあ、わからなくなるからねェ――」

 ハゲワシ医はそう言っていたが、俺は奴を信用していない。

 俺は別の医院に行ってリサの健康診断を終えた。リサの診断書の特記事項にはただ「失語症」とだけ書かれていた。いい加減なものだ。俺は声を出さずに笑った。リサは自分の診断書を横目で眺めていたが表情を変えなかった。

 その健康診断書を持って駅の北西にある日本再生機構の役所へ歩いていった。奴隷所持申請だ。書類に記入するリサの登録名も発見場所も適当に書き込んだ。市場で頻繁に売り買いされる奴隷の取得に厳しい審査はない。奴隷用の首輪も役所でもらえる。デザインは五種類のなかから選べた。俺は黒い色の首輪を指定した。

 手続きは以上で終わり。

 奴隷証明書が役所から発行されるのは後日になる。

 しかしこれで晴れて新宮りさは俺の所有する奴隷になった。

 再生機構の役所を出ると西の空は茜色に染まっていた。


 §


 俺とリサはお宿へ歩いて帰った。タクシーは一応走っているが運賃が馬鹿高いから俺は絶対に使わない。自転車があると便利だがあれは何をどうしても盗まれる。オートバイなどは「盗んでくれ」と書いた値札を下げてあるようなものだから論外だ。

 今歩いている静岡駅の北は高級ビジネス・ホテルが立ち並んでいる。そこへタクシーで乗りつけた、パリッとしたスーツを着た企業戦士だの、軍用車で乗りつけた皇国軍の将校だの、各地から来た再生機構の審議員だの、その彼らがつれている着飾った部下や奴隷だのを見るたび、驚いた様子のリサが足が止めて俺のジャケットの裾を引っ張った。

 俺はそのリサを引きずるようにして脇道へ入った。高級ビジネス・ホテル街の裏手は、けばけばしい色合い看板を掲げたカジノや売春BARや風俗店やラブホテル、それに屋台の居酒屋が道の両脇に立ち並んで狭苦しい。焼く煮る蒸すを連続する厨房から様々な匂いの煙が噴き上がっている。その煙っぽく狭苦しい通りへ今宵の享楽を求めて居住区の住人が殺到していた。

 リサは裏道に入った途端、表情を消した。

 驚いたのか呆れたのか。

 俺は少し笑った。

 その路地裏の出入口には実に安っぽいゲートがあって、『人宿ひとやど町の狩人通り』と、名称がある。俺とリサは人混みを縫うようにして狩人通りへ入った。

 大人三人並んで歩くのが精いっぱいの道幅だ。

 この裏通りは安い値段相応に悪いサービスを提供する流しのNPC狩人がよく利用する宿が集まった、俺のような流れのNPC狩人には有名な通りだ。高い背のビルディングに東西南北囲われた狩人通りは、それぞれの店の軒先に掲げられた小さな看板の照明があるだけで足元は薄暗い。屋内照明のような頼りのない光の街路灯の下に野良猫が集まって、そこの生ゴミをとっ散らかしていた。

 表の大通りに並んでいるような綺麗なホテルに宿泊できると考えていたのだろうか。

 リサの明らかにムスッと不満気な横顔だ。

 不満気なリサな横顔へ視線を送っている俺だって不満だった。

 俺から言わせてもらえばだ。歓楽街で性風俗店を運営しているいかがわしい連中へ、リサを引き渡さなかっただけでもありがたいと思って欲しい。正規の奴隷市場へ競りに出したほうがまともな飼い主に当たる可能性も高いのだろうし値段も良くなる――。

 俺がリサの横顔から視線を外したところで、対面から三人組の男が歩いてきた。揃って紺色の帽子に紺色の制服を着て、腰に携帯無線をつけた三人の男だ。この制服を着ているのはNPC狩人組合員でも治安維持を専門にしている連中になる。のろのろ歩いてきた区内警備員のひとりは紺色のポリス・グローブをはめた両手に黒ずんだ裸足を持っていた。

 死体を引きずっている。

 リサは息を呑んで立ち止まった。

 俺も立ち止まった。

 区内警備員の男が立ち止まって笑顔を見せた。肌が浅黒くて歯が白く、髭を綺麗に剃った爽やかな印象の笑顔だった。

「――あんた、組合員だね。そのジャケットだと専門は区外のNPC狩りか。景気はどうだい?」

 当たり障りのない挨拶をしたその区内警備員は、俺が着ているジャケットの胸についたワッペンを眺めていた。旭日旗を背景に三本足のカラスが羽を広げ、二丁の拳銃が交差した日本NPC狩人組合のシンボル・マークだ。俺の組合員ナンバーもワッペンに入っている。同様のワッペンが区内警備員の腕にもついていた。

「景気はボチボチかな。警備員さんの引きずっているその死体、ここいらにいたコソ泥か何かなの?」

 俺は区内警備員の男が引きずっきた死体を眺めた。白いものが混じる短い無精髭を、顔の下半分へまぶしたその中年男はぽかんと目も口も開いて死んでいた。路面に背をつけて万歳三唱をしているような恰好だ。何もかもが間抜けなその死体の胸元が黒く染まっている。至近距離から胸部を撃ち抜かれたらしい。後ろにいた二人の区内警備員へ目を向けるとポンプアクション式の散弾銃――モスバーグM500を持っていた。

 この間抜けな死体を作ったのはこいつの散弾銃みたいだね――。

「――うん。こいつは飼い主から逃亡した奴隷だ。どうも、この周辺で窃盗をして生き延びていたらしい」

 モスバーグを持っている奴――太った区内警備員が言った。

「!」

 リサが俺に身を寄せた。

「へえ、それで殺したの?」

 俺が訊くと太っちょ区内警備員の横で、

「ああ、発見した現場で殺処分だ、いひっ!」

 痩せた区内警備員が甲高い声で笑った。ゲッソリと頬がこけて、血色の悪い歯茎が歯と一緒に前へ突き出したその男の笑顔は極端に貧相だった。肌の色も悪く土気色だ。貧乏神が笑っているように見える。

「!」

 リサの身体が強張ったのが横から俺に伝わった。

「――奴隷は区民の私有財産だろ。殺して問題はなかったのか?」

 俺は訊いた。

「俺たちの判断じゃない。この奴隷を飼っていた区民の依頼だったんだ」

 健康的な浅黒い笑顔の区内警備員が言った。

「飼い主はこいつに逃げられてよほど頭にきたらしい。逃亡した奴隷はその場で殺してくれればいいって話でね」

 太った区内警備員が頷いた。

「何に使役されていたかは知らないけど、この奴隷はもういい年齢だからな。飼い主もさほど惜しいとは思わなかったんだろ、いひっ!」

 痩せた区内警備員がまた甲高い声で笑った。

 居住区には法執行機関があっても刑務所はない。

 区内で再生機構が定めた法律を犯した者は罰金刑か極刑かの二択になる。

「おいおい、死体を運んでいる俺は楽じゃないよ。ここは道が狭くて警備用のハンヴィーが入れないから――」

 浅黒い肌の区内警備員が苦く笑った。

 連れの二人は揃って高い笑い声を上げた。

「そうだったのか。ま、お勤めご苦労さん。元気でな、俺たちはもう行くよ」

 俺は死体を乱暴に運んでいた三人の脇を抜けた。

 震えるリサが俺の後ろをぴったりついてくる。

「ああ、ご同業。そっちも元気でやりなよ」

 三人の区内警備員が同時に俺の背へ言った。

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