第2話 奴隷の少女(ロ)
ジャケットの内ポケットからオイル・ライターを取り出して、
「口を大きく開けて、俺に見せろ」
俺は命令した。俺が何をしたいのかを察したらしい。少女は大人しく口を開けた。俺はオイル・ライターの灯りを頼りに少女の口内を確認した。少女の唾液は濁っていない。ゾンビ・ファンガスに寄生された人間は白い菌糸で体液を濁らせる。
まだ
「次は眼球の検査だ。目を閉じるな。そのままじっとしてろ――」
俺はジャケットのポケットから感染者テスタを取り出した。形状は小型のルーペに近い。ゾンビ・ファンガスに寄生されて、潜伏期間中にある感染者の眼球は、ひとの目では確認できないほど微妙な痙攣を一定の周期で繰り返す。この感染者判別装置が開発されてから、ゾンビ・ファンガスを潜伏させた人間が正面から指定居住区へ入り込むことはほとんどなくなった。
ごく薄い茶色の光彩の大きな瞳だった。
折り重なった上まぶたが有機的なオルガンのように見えた。
少女の瞳を拡大した感染者テスタが「ピッ」という音と一緒に点した明かりは、
「――
だった。
俺はジャケットのポケットへ感染者テスタを戻して、
「その首の
月明りを頼りに少女の首筋を見つめた。
「――
奴隷用のバーコードと一緒にそう刻印されている。
これは心身ともに若く健康のS等級を受けた皇国軍の奴隷の印だ。
「皇国軍はお前にお高い判定をしたんだな。お前はどこで暮らしていた。安倍川の上流にあった集落か?」
俺は少女へ銃口へ向けたまま立ち上がった。少女は路面に尻をつけたまま俺を見上げていた。震える胸元に手をやって青ざめ心配そうな表情だ。
「――早く応えろ。時間があまりない」
俺は銃口を小さく振って少女の返答を促した。
少女は自分の口を指さした。
そのまま口をパクパクさせている。
少女の喉から音は出ない――。
「お前は口が利けないのか?」
俺が訊くと少女は二度も強く頷いた。
「――聾唖かよ。それが甲種の判定? 皇国軍も随分いい加減だな――」
俺は呻いた。少女は強く眉間を寄せて俺を睨んだ。キズモノの奴隷は相応に価値が下がる。ただ、少女の耳はよく聞こえるようだ。この失語症は耳の障害に起因するものではない。脳の機能障害なのか。精神性のものなのか。
今はよくわからないが――。
「――車のなかにいた他の奴隷はどうなったんだ?」
俺は訊いた。
少女は顔を伏せて、それを返答にした。
「お前以外はみんな死んだ?」
俺はもう一度、訊いた。
うつむいた少女の視線はそのまま上がってこない。
おそらく、荷台にいた奴隷は全員死んだのだろう。
仮に生きていても自分の足で立てないのなら、それはもう死んだも同然だ。
横転したFMTVの荷台に乗せられていた奴隷のなかで、この少女だけが奇跡的に助かったらしい――。
「――立って歩けるなら、お前をつれていく」
俺はこいつの強運へ便乗することに決めた。
少女は震える足をふんばって立ち上がった。
怪我はないと見える。
たぶん、こいつの身体の方々についているのは他人の返り血だろう。
他人の血を浴びる奴は運のある奴だ。
自分の血を流す奴は運の無い奴だ。
この世界で生き伸びるために必要なのは銃と運だ――。
「――このまま南だ」
俺は銃口で少女を南へ促した。
「――?」
少女は眉間を寄せて怪訝な顔を見せた。
「俺たちは運がいい。あっちが派手で助かってる」
俺は道の北へ目を向けた。
「!」
俺の視線を辿った少女は、その瞳を大きく見開いた。炎の照明を浴びた皇国軍がNPCとまだ戦っている。銃声はさっきよりだいぶ減っていた。炎の照明で揺らめく影絵になったNPCの数は増えている。あの部隊の全滅も時間の問題だろう。
「NPCの群れだ、数が多――」
少女は俺の脇を走って抜けようとした。
「おい、お前、どこへ行くつもりだ?」
俺は少女の腕を掴んで言った。
眉間を歪ませた少女は涙の溜まった瞳で俺を睨んでいる。
「まさか、お前、あいつらを助けたいのか?」
俺が訊くと少女は強く頷いた。
何度もだ。
その動作でこぼれた涙が何粒か地へ落ちていった。
「ああ、向こうで燃えているFMTVのなかに、お前の家――知り合いが乗っていたのか?」
少女は火の出るような目つきで俺を睨んでいる。
「駄目だ、行くな。こっちへあの数のNPCを呼び寄せたら、俺たちは間違いなく死ぬ」
俺は忠告をしたのだが、少女は身を捩って逃れようとした。
「おい!」
俺が怒鳴ると少女は肩を竦めた。
俺はリボルバーの銃口を少女の鼻面に突きつけて、
「これ以上、北へ行ったらお前を撃ち殺す。巻き込まれるのは御免だ。わかったら、さっさと南へ歩くんだ」
俺はそう告げてから少女の腕を離した。
少女は何秒か戸惑いを見せたあとのろのろと歩きだした。足が向いたのは南の方角だった。
「物音を立てるな。振り返るな。俺がいいと言うまで、口を閉じていろ――ああ、お前は喋れなかったな」
俺は声に出して笑った。少女は俺の笑い声を背に受けて身体を硬くした。しかし、振り返らなかった。俺は少女の背に俺は銃口を向けてついていったが、すぐリボルバーをレッグ・ホルスターへ帰した。
前を歩く少女の肩が震えている。
俺と少女は安倍川沿いの道伝いに南下した。空腹と乾きを意識しつつ腕時計に視線を送ると時刻を午後九時過ぎだ。何時間か歩いたが、NPCに見つかることも、俺の目がNPCを発見することもなかった。南の夜空が静岡居住区から上がる光で白んでいる。のろのろ歩いていた少女の歩く足が速くなった。俺が歩を速めて横につくと、息を弾ませた少女は街の灯に目を奪われていた。
「――お前は指定居住区に入場したことがあるのか?」
俺は歩きながら訊いた。
「――?」
足を止めて振り返った少女はきょとんとした表情を見せた。
泣き続けて晴れぼったくなった少女の瞳が月明りの下で光っている。
「今から、この周辺で休憩できる廃屋を探すんだ」
俺は言った。
「――?」
眉間を寄せた少女は小首を傾げて見せたあと、街の灯のあるほうへまた視線を送った。
「――指定居住区の規則を知らないのか?」
そう訊いたところで、この少女は喋れない。
返事の代わりに、
「!?」
少女は胡乱な視線を俺に送ってきた。
目的地はすぐそこだろう。
どうして先へ進まない。
まぶたを半分落として、明らかな不満を表明した少女はそう言いたいらしい。
確かにその通りだが――。
「夜間、居住区に通じる検問は完全閉鎖されるんだ」
諦めた俺は説明を始めた。
「武装した狩人組合の組合員が居住区を囲う障壁沿いで外部から侵入するNPCを常時警戒している。夜間は視界が悪いから警備員も神経質だぜ。最悪、外からバリケードへ近寄るだけでもハチの巣にされる。どの検問にもミニガンが並べてあるんだ。知っているか? 米国製の電動式ガトリング銃。七カンマ六二ミリ弾を毎分四千発近く発射する挽肉製造機だ。あれに狙われたら辞世の句を考える間もなく死ねるぞ」
「――!」
ピタッと立ち止まった少女が俺を見上げた。目を丸くしている。左右に震災で崩壊した廃墟が立ち並ぶこの道の先には、まだ居住区の障壁が見えないので弾丸が飛んでくることはない。
「とにかく、障壁を超えて居住区へ入場できるのは日中だけだ。ここらの廃屋を使って、夜をやり過ごす必要がある」
鼻で笑った俺は県道二十四号線を東に逸れる脇道へ入った。小さく頷いた少女も俺の横についた。少女の背は空なので歩くのに楽だろう。俺の背にはライフル銃込みで三十キロに近い重さの荷物がある。夜間に灯り無しで歩く緊張も続いている。休憩が必要だ。疲労の蓄積は生き抜くのに必要な注意力を散漫にする。それに居住区が近い場所では、NPC狩人組合が定期的に偵察とNPC駆除を行っているので危険は比較的に少ない。それでも居住区の外は、どこからNPCが襲ってくるのか知れたものではない。
俺はレッグ・ホルスターのリボルバーを手にした。
横を歩いていた少女が足を止めた。
肩を竦めている。
「――お前を撃つ予定はもうない。拳銃はNPCの警戒用だぜ」
俺が言うと少女はいからせていた小さな肩を下ろした。
笑みを作った濃い桜色の唇を見ると俺の喉元が熱くなった。
俺と少女は脇道を進んだ。両側には廃屋が並んでいる。そのたいていは二階建ての木造住宅だ。生きた人間の気配はない。ひとの死骸も見当たらなかった。物陰を目にするたびに俺は警戒した。そこから飛び出てくるNPCはいなかった。震災後から放置されている廃屋は、崩れているか燃えたあとかで、仮宿に使えそうなものがなかった。しばらく周辺を散策すると低い山を背にした鉄筋コンクリート作りの大きな建物を見つけた。表にあった大きな看板は傾かずに立っていて、月明りでも『介護老人保健施設あさなぎ』と読めた。
廃棄された老人ホームだ。
窓ガラスはすべて割れているが建物自体の損壊は少ないように見えた。マグニチュード九以上の揺れに耐えたこの建物なら、中へ入った途端に天井が落ちてくる危険は少ないだろう。
「――この老人ホームのなかの安全を確認するぞ」
俺は建物の表で背嚢を下ろして言った。
少女は頷いた。
俺は頭のワーク・キャップの上にヘッド・ライトを巻く。
東側から外観を見るとさほどの広さはないように感じた。しかし、実際になかへ入ると、その老人ホームは大小数の居住用スペースに加えて、談話室、機能訓練室、レクレーションルーム――雑多な施設がある広い面積の建物だった。大勢のひとが生活していた名残がそこかしこで分厚い埃に覆われている。NPCの発生後か震災後なのかは俺にわからない。この大きな老人ホームは周辺住民の緊急避難先として、しばらくの間、機能していたようだ。三階から一階まで部屋の安全確認を終えて、建物一階の出入口にワイヤーを使った警戒用トラップを張った。俺は何も言わなかったが少女も作業を手伝ってくれた。
すべての作業を終えたとき時刻は夜半を過ぎていた。
俺は一階の中央に位置する個室を休憩場所に選んだ。その部屋は比較的損壊や汚れが少なく、正面出入口、裏口、部屋の窓と、NPC侵入を感知した際は二方面以上の脱出経路が任意で選択できた。もっとも、NPCが数を揃えて襲撃してきた場合、ほとんど手の打ちようがないだろう。狂暴な菌類に肉体を乗っ取られたNPCに知性と言えるものがあるのかどうか俺は知らない。しかし、NPCは集団を形成し規律のある行動で人間を襲うのは経験からいって間違いがない。
俺は仮宿に決めた部屋で、放射線と胞子の計測を終え、老人介護用ベッドへ背の荷物を下ろして
「お前、名前は?」
ベッドから舞い上がった埃に交じるカビの匂いが鼻につく。胞子や放射性物質がなくても何かの病気に感染しそうな気分になった。
「い、い、い、あ、い、あ――」
少女は踵を上げて唇の形をこの順番に変えて見せた。
俺は寄ってきた少女の顔を見つめた。
左の瞳の下だ。
一滴の墨汁が白磁に丸く染みた印象。
小さな泣きぼくろがあった。
間近で見ると少女は愛らしく綺麗な顔だちだった。
長い前髪がその表情にかぶりがちで今まではわからなかったが――。
「――うん。わからなかった」
俺は頷いた。
少女は眉を寄せて俺を強く睨んだ。もっとも、そうしなくても、上まぶたが重い印象のあるこの少女は普段から何かを睨んでいるような顔をしている。
少し癖のある美貌――。
いや、まだやることがある。
思い直した俺はライフル銃を手にベランダへ出た。老人ホームの南側は一面、ススキが生い茂る野原になっていた。野原の脇にはほったて小屋が立っていた。元は畑でもやっていた敷地なのだろうか。ススキが首を並べて揺れる向こう側は樹木と藪で覆われた小山が夜闇に染まっている。
現状でベランダから見える範囲にNPCはない。
俺は近くに倒れていたテーブルを窓際へ寄せて、その上へライフル銃のバイポット(※銃の立脚)を開いた。備え付けた銃の横に弾が詰まった箱をひとつ置いた。三三八ラプア・マグナム弾の箱だ。強力な弾丸だが南の地形は狭苦しく待ち伏せの狙撃には向かない。細い農道を挟んで見える小高い丘までの距離は、目算で百五十メートルあるかないかだった。その上で夜間は視界が悪い。俺のライフル銃と弾が持つ千五百メートルの有効射程も、この場所ではまさしく無用の長物だろう。
だが、例え無駄でも生き抜く準備はすべてやっておく。
そうしておかないと死が訪れたとき、それを素直に受け入れる気持ちに、俺はなれない――。
作業をじっと見つめていた少女へ、
「飲み物はいるか?」
俺は訊いた。
少女は頷いた。水筒を取るために、ベッドへ歩み寄った俺はそこに積もった埃がまた気になった。せっかくのベッドだから何とか使いたい。俺は背嚢にあったポリエチレン製のシートを取り出してそれをベッドへ敷いた。その上に毛布を敷く。
「水なら俺の背嚢にあるが――」
俺に寄ってきた少女は迷いのない動きで、俺の背嚢へ手を突っ込んだ。
「――おい、勝手に
俺は背嚢を漁る白い手を掴んだ。少女が俺を見上げた。眉を寄せた少女は明らかに不服そうだ。抗議を無視した俺は背嚢から水筒を取り出して水を飲んだあと、少女に水筒を渡した。背を向けて少女は水筒の水をごくごく飲んだ。細い背なかを眺めていると、くるっと振り返った少女が、濡れた唇を手でぬぐいながら俺の胸元へ水筒を押しつけてきた。
そのあとすぐだ。
少女は俺の背嚢をまた漁ろうとした。
全然、懲りない奴だな――。
俺は手癖の悪い白い手を強く掴んだ。
少女はやはり不服そうな顔で俺を見上げている。
ほぼ俺を睨んでいる。
そこで「きゅっふぅん」と音が鳴った。
少女の腹のなかにいる虫が鳴いた音だ。
ムスッとした表情を維持したまま少女は顔を背けた。
「――腹が減っているのか?」
俺が訊くと横を向いたまま少女は小さく頷いた。
「俺は仕事の帰り道だ。持っている食い物はほとんどない。あるのは途中で拾った飴玉くらいか――」
俺はベッドに腰をかけた。
「!」
少女ははっきり瞳を見開いた。
「十年以上前のものだぜ。ただ、飴の主成分の砂糖は腐らん。だから、食べられないことはな――」
俺が背嚢のなかから飴玉の袋を取り出すと、それをひったくった少女は、カサカサと素早く部屋の隅っこへ移動して、そこに置いてあった肘掛椅子へ座った。俺は椅子の上で三角座りで壁を睨みながら飴玉をガリガリ噛み砕く少女をしばらく眺めていた。
その飴玉、ひとつくらいこっちへよこさないか。
俺はそう考えているのだ。
少女は視線すら俺へ返してくる気配がない。
俺もひどく腹が減っている。コンビニの汚い床にぶちまけた昨晩の夕食――インスタント麺を思い出すとイライラしてきた。
「あっ、サバの缶詰がまだあった。味は――味噌煮か!」
俺はわざと大きな声を上げた。
「――!」
椅子の上の少女がぱっと振り返った。
「――お前も食いたいか?」
俺は背嚢から取り出したサバ缶を片手に訊いた。
口の中にあった飴玉を急いで飲み込んだ少女の白い喉元が動く。
少女はぶんぶんと二度も強く頷いた。
その胸元で飴玉の袋をまだしっかり抱えている。
強欲な奴だな――。
「――でも駄目。ひとつしかないからな。今からこれは俺が全部食う」
うつむいた俺は笑顔だった。
ガタンと椅子が横に倒れた。
「――!?」
立ち上がった少女が俺を睨んでいる。
射るような目つきだった。
しかし、このサバ缶は俺の所有物だ。
少女が食べている飴玉だって元は俺のものだ。
この状況で憤る資格が、お前にないと思うがな。
俺はそんな意味合いの視線を憤った様子の少女へ送った。
それで少女が気後れする様子はない。
俺は少し考えたフリをしたあと、
「――サバ缶を半分分けてやる。こっちへ来い」
ツカツカと歩み寄ってきた少女はサバ缶へ手を伸ばした。
断りを入れる素振りも見せない。
俺はサバ缶を掴んだまま少女を見上げた。
少女の方は自分の手が掴んだサバ缶をじっと見つめていた。
それで決心した俺は、空いた方の手を使って少女の手を強く引いた。
俺の腕力で少女のバランスが崩れる。
「――!」
俺の不意打ちを受けた少女はベッドへ倒れ込んだ。
胸に抱えていた袋から飴玉も一緒にベッドへ転がった。
さっと少女にまたがって、
「飴玉も水も有料だ。この缶詰だってそうだ。
俺は言った。
「!」
瞳を大きく開いた少女は息を呑んだ。
俺の下にある少女の肉体が強張ったのがはっきりと伝わる。
「金で俺に対価を支払え――」
俺は少女の身体の方々を丹念にまさぐった。
「!」
少女は強く身を捩って俺から逃れようとした。少女の長い髪が俺の頬を何度か叩いた。そのたびに、少女の匂いが鼻先で散った。
逃がすつもりはない。
「――金も持ち物もないな?」
俺は呟いた。眼下の少女は顔を真横へ背けている。当然の話だ。この少女は皇国軍に捕らえられた奴隷だ。奴隷に財産の所有権は無い。奴隷になる以前に少女が持っていたものはすべて皇国軍に没収されたのだろう。
それもおそらく皇国軍の車列と一緒に全部燃えて――。
「いや、ひとつだけあったぜ」
収穫がなかったと思われた俺の手に残っていたのは、少女の肉体にある女の兆候だ。
それぞれの場所で、それらはまだ微々たるものだったが――。
「――お前の
俺は言った。
「――!?」
少女は上になった俺へ顔を向けた。目尻に大きな水滴を溜めた少女の瞳が炎のように揺らいで見えた。少女は俺をはっきり睨んでいる。
「じゃあ、検品をするか――」
俺はたくしあげたスカートから覗いていた少女の白いショーツへ手をかけた。
「――!」
少女は両手を使って俺を押し返そうとした。男の体重を押し退けるほどの力がその少女にはまだない。仕事が終わりに近づいて緊張感が薄れていた俺は正気を失うまで催していた。少女は音が鳴るほど歯を噛み合わせて抵抗した。俺と少女はしばらくベッドで格闘した。俺は戯れ交じりだ。少女は必死だった。無暗に暴れて体力をなくした少女の抵抗は次第に弱々しいものになった。
開いた唇の間から諦めと一緒に漏れてきた少女の吐息はキャンディの匂いがする。
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