キスのタイミング
神社にしっかりご挨拶をし、私のささやかな計画を神様に報告した。
一平くんは隣で、何を祈っていたんだろう。
少し気になったけど聞かなかった。
神社からの帰り道、河原の見渡せる歩道があって、長く続くその一本道を手を繋ぎながら歩いた。
私は、もうすぐ付き合って半年になる彼と、自然に手を繋ぐことができる関係には進展したものの、ファーストキスはまだだった。
一平くんも……初めてだよね? きっと……。
歩いていた道は、人通りも少なく土手に腰を下ろせば人の目も気にならないな……そんなことを考えてる自分って、やる気満々過ぎてキモイだろうか。
私は、一平くんとのデートを重ねる度に彼への好き度が増していって、彼ともっとステキなことをしたい、という欲求が次から次と浮かんでくるのだ。
一平くんは私の気持ちを知って知らずか、いたってナチュラルで、下心なんかこれっぽっちも見せずにただ純粋に楽しんでここにいてくれてるみたいだ。
私が、欲張り過ぎ??
歩きながら、綺麗に輝く星を見ていた。
今日の夜空は、月の光が控えめでその分星の輝きが強い。
「ねえ、一平くん、少しだけ土手に座って星見ない? すごくキレイだよ。」
「おー、いいね。でも時間大丈夫か?」
「ここから家も近いし、でも一応親に連絡はしとこうかな。」
「よしよし、偉いぞ美波。俺は男だからしないけどねーー。」
「いやーー、ってあれ、流れ星!!」
「マジ?」
すごく光の強い星が、すっと流れて消えた。
これじゃあ、願い事間に合わないや。
「私、流れ星初めてみたかも」
「そうなの? 夜空を気長に見てたら結構流れてるもんよ?」
「うそーー、結構ってどのくらいの頻度?」
「いや本当、しばらく見てようよ。たぶん何個かは絶対見れるはず!」
「へーー。」
そうして私たちはしばしの間、流れ星観察をすることにした。
考えてみれば、好きな人の隣で夜空を眺めるって最高にステキなシチュエーションだと思う。
予想通り、二人で一緒に流れ星を見ることができた。そして、ひとしきり興奮で騒いだ後に妙な沈黙が流れた。
(これって、もしかしてもしかすると、キスのタイミング??)
もしも、そんなことを思っているのが私だけだったら、恥ずかしい。
私は、一平くんが行動に出るまで待つことにした。
ずるいかもしれないけど……。
すると一平くんがついに沈黙を破った。
「美波の顔ってさ、一見地味だけど、鼻筋めちゃキレイだよな。」
「へ、そう??」
気のせいだろうか、一平くんの顔が近づいた。
「あとさ、眉毛と唇が、なんかエロい。」
「ままま、眉毛はありのままです。唇は……今はどちらかというと、緊張でカサカサしています。」
私、何言っちゃってるんだろう。でも、目の前の一平くんは、なんだかいつもの感じと違って、雄モード!?なんか、目つきが変だよ。
しばらく、至近距離で睨み合ってた。
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