案外マジらしいっすよ

家の給湯器が寿命でぶっ壊れてからはや一か月が経とうとしているが、半導体が絶賛不足中(父談)らしいので今日もまた祖母の家に世話になってきた。たまにか時々かはわからないけど(少なくとも前回より一週間間が空いていた)、それなりの頻度で夕飯を頂いている。今日はチキンなんとかと豆腐のあんかけ、野沢菜のつけものと炊き込みご飯を食べた。

 一月くらい経とうとしているとはいえ、こうも毎回風呂に入らせてくれるというのは有り難い。何より(前回も言ったが)固定されているシャワーが使えるというのが今は何より贅沢に感じられる。

 食事の席に着いて、皆で乾杯をして数分経とうとしていた時のこと。祖母が突然こう言い出した。

「私達が住んでる街って、近くにスーパーやコンビニがあるし、恵まれているなって思うのよ。それにさ、こっちは10センチ積もっただけで「大雪だ」って騒がれるけど、もっと田舎の方とかだと50センチは積もるからね。私のお姉さんによると、以前は農協のスーパーがあったんだけど、遠くにおっきなショッピングセンターが出来ちゃってね、こっちはバスが一日二本(午前に一本、午後に一本)しか来ないようなとこだからさ、困っちゃう訳よ。子どもがいるところはまだいいけどね」

「お前にとってはコレが生まれた時から当たり前だったからな、分かんねえだろ」と父。

 私自身、家出中は松戸にいたので田舎事情は少しだけ分かっているつもりだった。しかし、実態はとんでもなくかけ離れていたのだ。この話を聞く限り、限界集落などはもっと酷いことになっているのだろう。都会(?)に住んでいて良かった、と思うと同時にあまりに現実味がなくて私はただ話を聞いているだけだった。

 改めて考えてみると、親友よりかは恵まれていない(駅から家が近いので。誇張でもなんでもなく、目と鼻の先が駅)がどこの誰とも知らないような田舎の人よりかはかなり恵まれているのではなかろうか。

 昨今、若者の田舎離れが叫ばれているがあまりの住みづらさも理由に入るのだろう。最低でもプラスマイナス三度になる上、地域によっては氷点下など私にはとても住めたものではない。それでも新たに住む人がいる以上、そこに良さを見出せるということなのだろう。無欲で心が豊かな人なら住めないことも無さそうだ。

 家の立地が、駅から歩いて10分でギャーギャー言う私は甘ちゃんだったのかもしれない。田舎では古くても駅から10分などかなりの好物件だろうから。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る