号外:ぼちゃっと実験(紅茶vsいちごジャム)

 前から気になっていたことがある。私はあまりにも体力がないので、休憩がてらに相方と喫茶店に行くことがある。私は紅茶を、相方はコーヒーを飲みつつリラックスするのが目的だ。その時に、私は山盛り(スティックだったら二本)の砂糖を入れて飲むのだが、これがとても甘くて美味しい。虫歯になる組み合わせだが、特別な時だけの特権だとも思う。

 なら、ジャムをそれもいちごジャムを入れて飲んだらどうなるのだろう。ロシアンティーはジャムを入れて飲むやり方だが、これを素直に実行したならば。家にあるジャムを山盛りひと匙湯呑の中へ。落としてぐるぐるかき混ぜたなら。だんだんと雲いきが怪しくなってきた。準備した頃には上手くジャムが溶けないのだ。仕方ないのでそのまま飲むと、どうしたことだろうか。様々な味が混じり合って、マイルドな酸味以外何も感じられない。

 これは実験失敗だろうか。よく見ると底の方にいちごの果肉が溜まっていた。酸味の原因はどうやらこれらしい。もしかしたら、無造作に掬いとるよりも、ある程度掬いとる場所を決めた方がいいのだろうか。しかし、果肉やつぶつぶはジャムの全域に及んでいて、隙がない。仕方なくもう一度チャレンジしたが、結果は同じだった。というか、紅茶の渋みが甘酸っぱさを台無しにしてしまうのだ。

 これは仮説だが、紅茶とジャムにも相性があるのかもしれない。いちごジャムが合わないだけで。実際、ネットで検索してみると紅茶に合うジャムにいちごはない。

 しかしまあ、昔の人は紅茶を飲むときどうしていたんだろうか。砂糖を入れていたのか、レモンを入れていたのか、はたまたベロが死ぬことを覚悟でいちごジャムを入れていたのか。私には分からない。昔の日本人が考えることは分からない。

 ちなみに、本来のロシアンティーはジャムを口に含んだまま紅茶を飲むのだが、私を含めた日本人は大体にして紅茶の中にぼちゃっと入れてしまうのが正しい飲み方だと思い込んでいるようだ。本番ロシアに行ったら驚かれるのでしない方がいい。

 ロシアンティーの飲み方にも当然理由があり、昔のロシアでは、ジャムを直接紅茶の中に入れると冷めてしまうと信じられていたこと、それとジャムは当時貴重だった砂糖の代わりだったというのが真相のようだった。結果として美味しい紅茶を味わえているからいいとは思うのだが。

 実は私自身、臆病な性格もあって未だにコーヒーが飲めない。紅茶なら大丈夫(お茶だから)なのもあり、家でも時々飲んでいる。いやはやお恥ずかしい。

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