バイト終わりの昼下がりのこと、寝不足にも拘らず親友に呼び出された私は、週に一度の音ゲー(300円)で時間を潰し(初見フルコンボ二回)、通知が来てから(この時点でゲームそのものは終わっていたが、結果発表や隠し曲の解禁イベントがあった)数分後、私は親友を待つ為に駅前の広場(ちなみにマジで広い)に出た。

　私が住んでいる街は一人当たりの住居面積は(失礼ながら)狭いのだが、その代わり交通の便は良く駅前には何でも揃っている(アニメイトなどはないが。映画館はある)。つまり普通に暮らす分には申し分ない程恵まれた街(千葉に家出した時微妙に分かった)なのである(こうなったのはつい最近だが。その割に変な事件がたまに起きる)。当然(?)レストランやご飯屋さんもかなり揃っているので選択肢も多かった(候補はPARCOの中など)。その中でも、私達二人はなか卯かゆめあん食堂かで悩んだのだが、なか卯に空いている席がないのでいつも通り、後者の店へと入ることになったのだった。

　どうも客層(というかターゲット)が違うのか、食堂の中には少し空席があるようで、私達はそのうち一つに座った。その時判明したある事実が、私の中の認識を少しだけ変えたのだ。

　きっかけは、親友のスマホである。

「え、iPhone⁈俺も買おっかなぁ」

「iPhoneじゃないの?スマホ。ソレ……」

「Androidだよ、コレ。指紋認証とかそっち無えだろ」

「確かに。私さあ、iPhoneが当然だと思ってたんだよね」

「いや……、世間一般でいうスマホってAndroidだぞ⁈iPhoneはアップル社の製品で、性能で勝負してるの。Androidは安さな」

「確かに、iPhoneって10万はしてたよね」

「だな。アップル社のは、軒並みそれくらいする」

　私の母でさえ、iPadを所持しているので私にとってはiPhoneが当たり前だと思っていた。しかし、私より遥かに裕福な親友がAndroidというのには驚かされる。もしかしたら、別のものにつぎ込む為に節約しているのか、単に「コレで充分」だと思っているからAndroidなのだろう。改めて驚かされる。

　とはいえ、納得出来ない部分がないわけではない。価値観の違いが大いに関係しているからだ。私の家は、家計が苦しい時でさえ「いいものを持とう」という家だったのだ(今は壊れてしまった牛革の財布は、そんな価値観のもと祖母が買ってくれた)。どちらが異常で、どちらが正常なのかは分からない。正解などないのだろう。多分。