アイデンティティってなんだろな

 制服とは違うが、皆が同じ服を着て歩いているように見える時がある。田舎はそんなでもないが、都会では同じような服を着た人が沢山いるように感じられるのだ。都心を歩いていると、そんな場面に出くわすことがあり自分だけが取り残されたように思えてしまう。服装に気を遣っていないからだとも言われているが、あながち間違いではない。私はリアルでこそ目立たないようにしているが、ゲームのアバターは盛るタイプだからだ。理想的な形になるまで、何度もこねて整える。

 思うに、流行に敏感であることは流れるプールに流されて気持ち良さそうにしているのと同じなのだ(市民プールの流れるプールは逆らう方が体力使う)。実際、流されていれば楽にはなれる。だからだろうか、流されない強さを持った人には会ったことがあまりないような気がする。自分だけの世界を顕現させ、どこかが変な人。俗に言う変人であり、進撃の巨人でいうところのハンジさんである(ヒトだからまだ評価はマシ)。アイデンティティとは、他者に流されずに生きられるかどうかのバロメーターなのかもしれない。知り合いも友達も、流されずに生きられる人は少なくて(親友は流されずに生きているといえる)、私も少しだけ流されて生きている。けれども、時には流された時に得たものを捨て去る勇気も必要なのだろう。

 こんなことを書いている間に高校時代のことを思い出す。それなりに楽しくはあったけど、どこか空虚でつまらなかったあの頃、自分の中に芽生えた(嫌な)才能を知った。充実しているかというと微妙だったから、ある意味今の方がいいのだが。誰しもが、流されて生きているように感じていた。私のような者はほぼおらず、異端児として扱われた。だからこそ、私は今でも流されてみたいし普通に憧れてもいる。言ってしまえば友達が欲しいのだ。今更一昔前のギャル口調になったとして、遅すぎるということはよく分かっている。むしろ怪訝そうな目で見られる。今更字の書き方を変えても、治せないことは分かっている。変えようとする度、虚しさに襲われる。流されてみたいな、と思うのに流されることが容易ではないと知った時、私はずっと独りなのだろうかと思ったことがあった。

 結局私は、ある程度好き勝手する為にメガテンのグループにいる。ここなら同じような人たちが集まっているから、楽しいだろうと思って。しかし一つだけ問題がある。なんと、このグループでは私が最年少だというのだ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る