闇の世界旅行(pixiv×カクヨム相互企画予習用)

 大体にして、観光というものは明るく楽しいイメージがついて回り、その殆どは博物館や美術館、はたまた遺跡やレジャースポットなどの「楽しめる場所」である(楽しめることが前提である為に当然ではあるのだが)。しかし、世の中明るいモノだけではなく暗いものもある。戦争の爪痕は分かりやすくも我々に沢山の教訓を教えてくれる題材として、定番の観光スポットだ。博物館でもどこでも、戦争の企画展が一年に一回は開催されているような気がするが、それだけでは物足りないという人は実際に現地へ行った方がいいだろう。

 ナチスが産んだ悲劇の産物であるアウシュビッツ強制収容所(ポーランド)に、これまたナチスのやらかしが産んだオラドゥール村(フランス)。日本では原爆ドームなど、目を凝らしてみれば負の遺産は沢山あるのだ。それ以外にもあるといえばあるし、ないといえばないが、やはりというか用途が分からない廃墟の建物は一般人には見過ごされやすい。だからだろうか、マニアには人気の場所もある(ガイドブックには載ってないタイプ)。かなり皮肉なものだが、廃墟目当てに人が集まるのも悪いことではない気がする。

 併設されている博物館にはたまーに悍ましいモノが展示されていることがある。それ以外にも、戦争の悲惨さを伝える為の展示物は沢山あって、風化していく建物だけではなく、当時の人が書いた手記や生の声が録音されたテープなどもある。それらを見るのもまた一興だろう。

 戦争の敗戦国である日本もかつては焼け野原であり、高層ビルが沢山立ち並んでいる今(道に迷いやすいから却って困る)でこそ面影はないものの、住宅地や公園では稀に遺構を見つけることができる(ホントだよ)。不発弾も稀に見つかるらしく、ちょっとしたニュースになることもある。国は違えど苦しかったのだということはちゃんと伝わってくる。だからこそ今を生きられることには感謝するべきなのだ。

 かつては人々が牧歌的に暮らしていた地に異邦人が現れ、跡形もなく滅ぼすというのは定石レベルだが、そこに住んでいる人達にとってはたまったものではない。だからといってずっと幸せが続くということもない。大体にして、どこかで綻びが出来て幸せは遅かれ早かれ瓦解する。それを見世物にして金を取るのはアリなのか、とも思ってしまう。いつの時代も人は他人の不幸が好きなのだろうか。

 大自然の中に埋もれていき、小鳥達が巣を作っていく光景は新たな生命がそこに息づいているようで少しだけ微笑ましい。

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