いつの世も苦しめるのはヒトの業

 (地味に回復してきたので再開します)

先進国というのは刺激を求める悪癖があるのか、ビルばかりを建てた挙句使い方も下手である。結果、都市部には多くの人が集まり自然という自然はなくなっていく。仮に人工の自然があったとして、そこにあるのは歪みだけだ。今私がのんびりしている間にも、貴重な自然が失われていくという事実には胸が締め付けられる。ブラックバスやらブルーギル、アライグマにジャンボタニシなどがその最たる例だろう。インコを逃すという行為も、そういう意味では許されざるものである。

 しかし、外来種に悩んでいるのは日本だけではないようだ。外国(ヨーロッパなど)であっても例外ではない。地味に雑草の被害が深刻らしく、モノによっては公害レベルになっている。その中には日本人であれば馴染みのある葛も含まれているのだが、残念ながら全く使い物にならない。というのも、野生種は根が細すぎてじゃがいもより遥かに手間がかかるので、食用に適さないのだ。その為か、葛が大繁殖している地域で付いたあだ名は「グリーンモンスター」である。ちなみに日本でも、街一つを呑み込む勢いで大問題になっていた(が、忘れ去られている)。仮に食べるとしても外国人はどうやって食べるつもりだったのだろうか。

 陸だけではなく、海でも同じようなことは起こっているようだ。捨てられるバラスト水が原因で、ワカメが日本だけでなく世界各地で繁殖しているようなのだ。海藻を英語でシーウィード即ち海の雑草、と言うわけである。コイツについても「食えよ」コールが聞こえてきそうだが、例によって「無理」と返ってくる。食生活がそもそも全く違う上に、体質上受け付けないというのがあるようだ(日本人が海藻を食べられるのはそういう風に適応した結果)。駆除を諦めて全部日本に輸出するという案すら出ている。それだけ海藻を食べる我々は特異なのだろう。その上、調理のレパートリーも幅広い。これは世界に誇っていいかもしれない。ところてんやらうみぶどうは、私としてもぱっと見使い道が分からないが、前者は父が食べているし、後者は沖縄などで食べられている。海藻の有効活用については一級品だが、やはり日本人からしたら当たり前なのだろう。

 意外と世界でも外来種に苦しめられている事実を知った時には驚いたが、考えたら異文化交流を目指して弊害がない訳でもないと至った。ペットなどと同じで、動植物を安易に持ち込むのは自然を破壊しているのと同じことなのだから。

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