(号外もどきの番外編)身体の時が止まっても

 私は普段から映画をあまり見ないのだが、「エスター」という作品が最近妙に気になってしまう。サスペンスホラーなのだが、キャッチコピーからしてもう引きずり込まれそうになる映画で、ネタバレサイトを見たとしてもかなり楽しめそうだった。そのサイトによると、彼女は幼い姿のまま大人になってしまったらしく、それにより精神疾患を患ってしまったそうな。私も秋葉原や立川で、実年齢より下に見られたことがあるがそこまで気にしてはいない。というのも、私には近くに親友がいるし、子供の姿でなければ出来ないこともあるし不利だし不便ではあるが、楽しく生きることが出来ない訳ではないのだ。もしかしたら、エスターは精神的には「人並み」になりたかったのだろうかとも思ってしまう。

 私の場合は単に運動嫌い(サバゲー嫌いの一因)から来る運動不足故のチビだが、チビだからといって執筆が不利になる訳ではないし、寧ろ知っている人は大体優しいのでチビのまま生きることに躊躇いはない。ついでに、私自身常識が嫌い(不利だから)というのもあり、自分を貫きたいというのもあるのかもしれない。興味が人と違い過ぎるからだろうが。

 昔から私の興味はどこか人と違うところに向いていたこともあり、繋がっている人がどこかにいればそれで良かった。だから友達の数なんて殆ど気にしなかったし(友達の数を気にさせられてはいた)、楽しく生きることが最優先だった。寧ろ、一般的な考えを押し付けられるのが我慢ならなかったから、友達が少ない方が有利に働いたのだ。

 とはいえ、外見がもたらす効果は予想以上に大きく、この外見で面倒な思いをすることも珍しくはない。秋葉原では「10代にしか見えない」と言われ、その他の場所でも未成年に何回も間違えられた。加えて酒は飲めないし、何よりかわいいぬいぐるみが好きならぱっと見子供に見えても仕方ない。もしかしたら、私があまりにチビだから人によっては微笑ましく見えるのかもしれない。けれど、私をただのちびっこだと勘違いすると痛い目に遭うことは知っておいて欲しいと思っている。

 マイノリティはいつだってマジョリティに押し潰されながら生きている。悲しいことにそれが世界にとっての当たり前だから。もしもそれに抗いながら生きるなら、精神だけでも強くなければいけない。その時人並みの精神力しかないなら、抗うことなどとても出来ないだろうことは確かで、どこかズレていなければいけないのだろうなと思う。個人の尊厳とはそんな感じだと、私は考える。

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