実力の定義

 私には実力という言葉の意味がよく分かっていない。というのも、明確な定義がよく分かっていないからだ。実は強さというものも私はよく分かっていないから、比べるだけ無意味だと思っている。けれど世の中には金メダルがある、それは確かなことだ。私から見たらそんなものに意味は見出せないのに。不思議だなとも思った。楽しければそれでいいのに、と思いつつ執着心だけは微妙に理解した。

 そう、私自身こだわりが強く妥協や我慢が苦手(出来ないわけではないが)なくせして、(興味を持ったものに対する)執着心はとても強いのだ。音ゲーだって、望む結果が出るまで何度も挑戦するし、欲しいものはどこまでもいつまでも追い続けるのが私のスタイルだ。興味さえ有れば、見えないものだって追い続けられてしまう。興味が続けば、だが。

 ふと疑問に思ったのは、運やコネなども実力に入るのかということ。私はよく運がいいと言われるし、沢山の奇妙な巡り合わせが私を私たらしめてきた。周りにはいい人が沢山いるし、些細なストレスはあってもそれがずっと続くことはまずない。自分を恋しく思う人は確かにいるし、気にかけてくれる人も確かにいる。古い付き合いほどいい付き合いになることは多くて、そういう人ほど今でもよくしてくれる。逆に去っていくのは新しい人ばかりで、気が合ったと思ったのにいつの間にかいなくなっていた、なんてことも珍しくはない。とても悲しいが、人間関係というのは流転していくものだと考える他はないのだ。

 私が実力に拘る理由はただ一つ。未だに元カレの影に苦しめられているからである。打ち負かさなければ、折れたプライドを蘇らせることができないのだ。同人作品の出来栄えや人気で競えば確実に負けることは確かだから、オリジナリティで勝負する以外に方法がないのだ。幸い、私の世界観は一応確立している。が、逆を言えばそれ以外私には能がないのだ(人は惹きつけられるので、タイプとしては押井守に近いか)。未だに元カレを羨ましいと思うのはこれが理由(沢山の人に見てもらっていたから)。

 ところで、アンチが殆ど来ないというのは実力に含むだろうか。私のコメントはアンチが殆ど来ないのだが、もしこれが実力のうちだとしたらお笑い草だ。簡単で楽しいことを実践しているに過ぎないのだから。私の目標は元カレを超えること。だからファンの数のみならず、アンチの数も超えたいというのが本音なのだ。だからアンチがいないというのは普通の人に近づけないようで悲しい。

 

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