バギーちゃんのこと

 去年の誕生日プレゼントは高くて性能のいい自転車だった。母から自転車を買ってもらった時はとても嬉しくて、古い自転車(先代バギーちゃん)は役目を終えた(元々錆び付いていた上、十年近く乗っていたこともあり、寿命だったのかも知れない。尚、先代は自転車屋さんに何とかしてもらった)。ネイビーのボディーが美しいそれは、歩くのをことあるごとに面倒くさがる私の足として活躍している(歩くのは疲れるし、移動する距離も限られてくるので)。雨の日以外は基本的に彼(?)を乗り回しているので、私自身正しい歩き方というものを忘れそうになっている。それはそれでいいのだが。

 私は車の免許を持っていないし、持とうとも思わないので自転車は必須レベルである。コレ一台で無茶さえしなければ楽しめるというのもいい。家でゲームをしているのは形は違えど大人しくしているのと同じだから、私はそれに耐えられないのだ(夜はゲームをしているが)。よくもまあ飽きもせずにゲームばかりできるな、と思う。どこかにふらっと出かけて宝探しや音ゲーをした方が楽しいのに(雨の日は電車でどこかに行く)。

 ギアはいつも2を使っている(女性用自転車はギアの切り替えが三段階しかない)。コレが一番丁度いいからなのだが、時には3にする。1は滅多に使わない(坂道でも2にしていることがある)。安全運転をしてはいるが、人にぶつかることはあるので気をつけなければいけない。それでも自転車ライフは楽しいからやめられないのだが。

 ボディは前述の通りだが、思った以上にネイビーの自転車は多く、リラックマのキーホルダー(電池切れか何かでライトがつかなくなったやつ)を鍵に付けなければどれが自分の自転車なのかわからなくなってしまう。古い自転車とおさらばしてやっと人並みになれたと思ったら、今度は見分けがつきにくくなってしまったのだ。それ故に私は彼(?)を見失いかけている。駐輪場では特にそうなりやすいから注意せねばならない。もしかしたら人間も「人並み」になったら埋もれてしまうのだろうか?と考えてしまった。

 ここだけの話、小さい頃は自転車に乗るのが怖かったのだが、父が近くの公園で付き合ってくれたのもあり、今ではすっかり乗りこなせるようになった。新しい自転車はお尻が痛くなることもあるが、馴染めば問題はなくなる。変わらず坂道は苦手だが、目当てのモノを探すには欠かせない自転車。今日も明日も明後日も、私はバギーちゃんと共に行く。

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