キツい毒はどこまでも身体を蝕んでいく

 私がかわいいキャラクター好きであると同時に、メガテニストであることは周知の通り(初めての方に説明しておくと、メガテンは小さい頃に知った)だが、同時にとある理由からfateシリーズひいては制作会社であるタイプムーンがこの上なく嫌いである。何故ここまで大ヒットを飛ばしているのか分からないくらい嫌いな作品が、ゲーセンの景品になっているのか。別にそれだけならまだしも、数が多すぎる。まるでマラリアを媒介するハマダラカのようで、知らず知らずのうちに刺されているかもと不安になってしまうのだ。ゲーセンの景品がシケている理由の一つは確実にコレだと思うし、それ以外にもこの作品にはトラウマがある。

 私は以前、ブックオフに立ち寄ってコミカライズ版のfateを読んだことがあるのだが、とにかく見るに堪えない内容だったことを覚えている。その日を境に、私はfateがネギと同じくらい嫌いになった。メガテンの方が綺麗に見えるし、すんなり受け入れられるというくらいには。それに、設定が明らかに中二病である上に血筋次第で胸糞悪い展開というのも気に食わない。あまりの中二病臭さに私は頭が混乱し、溶けそうになった。横文字を多用すると確かにかっこよく見えるのだろう。だが、それは所詮子ども騙しであり、本物には遠く及ばない。メガテンには確固たる不変のテーマがあり、それは年月を経て尚人々を魅了し続けている。物語の中で、「チャンスさえあれば悪魔の力を手に入れられる」「悪魔は必ずしも悪ではない」という思想も私には魅力的に映った。にもかかわらず、元カレに勧めたらプレイして暫く経った頃に「吐きそうになった」「頭痛を催した」と連絡が来た。期待外れのそのセリフに、私は呆れるしかなかったしそれどころか驚かれたのだ。私からしてみれば小さい頃に見たポケモンのアニメと同じようなものなのだが、彼には理解出来なかったようだ。逆に、私から見ればまるで毒空木(ドクウツギ。幹も葉も花も実も枝も全てに毒があるというレアな植物。出会えたらある意味奇跡)のようなfateを平然と受け入れる人の方が理解出来なかった。それは大学でも同じで、手放しで賞賛している友人や後輩がいたのだ。彼らにとっては青春の一部でも、私にとってはそうではない。

 少しだけ前に、私の母はFGOをプレイし始めた。私はこの結果にガッカリした(少なくとも「fate大っ嫌い」とは母に言っている)が、少し経った頃に飽きたのかしている光景すら見なくなった。私は、元に戻ったことで安心した。これでいつも通りの日常が戻ってきたのだ、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る