理想は遠過ぎて
ずっと前から望むものから遠ざかる人生だった。あれも欲しいこれも欲しいで生きてきて、望み通りになり始めたのはつい最近のこと。絵はそこまで上手くないし、物語を書くのも他の人に負けている(難解にしてあるというのも大きいが)。コンプレックスと恥が、埃のように積み重なっていくとやがて人が妬ましくなっていく。気に入らないものが増えていき、自分が惨めになっていくのだ。自己完結しようにも、自分の作品は誰かに見てもらいたいという想いが日々風船のように大きくなって、気づけばインターネットに居場所を求めていた。
けれど、長いことそんな都合の良い奇跡は起こらなかった。わたしが書いていたのは二次創作だったから。大好きなゲームの二次創作を書いていたが、あまりに難しいからか誰も見てくれない。持てる知識を集約した私の世界の一部。本当に言いたいことはこの中にあるのに。私は諦めた末にオリジナル作品を書くことに決めた。
するとどうだろうか、オリジナルやエッセイを書いたら書いたで(ツイッター宣伝込みで)比較的沢山の人が見てくれたのだ。一週間でのべ百PV超えなど私の人生では初めてのことだった。それでもまだ理想を超えるには欠けたピースが沢山ある。私には目指すべき背中があるのだから。
それでも努力不足であることには変わりないが、居場所を(コネで)見つけてからは段々と気分が上向いてきた。優しい人達に囲まれて、ネット限定だが楽しい日々を過ごせるようになった。リアルでは相変わらず居場所がなく、時にはメソメソ泣くような日々だが、それでも生きていられるのは好きなものがこの世には沢山あるからだ。嫌いなものからは逃げるか目を逸らせばいい。そうやって今まで生きてきたが、やりたいことには真正面からぶつかっている。とても楽しいから誰にも強いられずに続けられるし、気持ちよくなれる。沢山こだわって、沢山飾って、沢山混ぜて。そうして私の作品は出来上がっていくのだ。楽しい世界が一つまた一つと出来上がっていくうちに、私の心もだんだん色づいてきた。知識の色だろうか、楽しい色だろうか。色んな人が見てくれて嬉しい色だろうか。沢山の思い出を封じ込めた作品を見てくれる人の存在はありがたい。
それでも、理想へ辿り着くにはまだ時間がかかるのは本当で、私はまだまだ山でいうところの三合目くらいにしかいない。夢を叶える為には知識だけでは足りないし、沢山の経験をしなくてはならないからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます