怖がりである故のリスクヘッジ

 最初に言っておくことがある。私は断じて「隊長」ではないと。寧ろ臆病であるが故に何も経験していない世間知らずの箱入り娘である。怖がりであるが故に常に一歩踏み出せず、危険を回避しようと日々策を練るような人間であるからこそ(やってない場合もあるが、その場合も出来る限り危険を回避している)、見知らぬ土地には滅多に行かないのだ(行きたいところには一人で行って帰ってくるが)。悲しいことに、これは経験則としてある程度インプットされているものである。今の今まで、傷つくことを恐れながら生きてきたから。

 リアルではいじめ(高校の時がある意味最も酷く、児童館に毎週行かなければ自殺していた可能性もあった)を受け、家では重んじるものが違う家族と暮らしている私は、環境が原因なのか自然と臆病な性格になっていった(周囲の教えも大きいが、多分私のことを真に考えるならばもう少し自由にさせて欲しい)。それはネットでも同じで、リアルで見知った人で且つ年下か同い年でないと私はタメ口を利くことはできない。仮に年下だとしても疑心暗鬼になる余り、私は常に敬語を使ってしまう。明らかに年上であれば言わずもがな。その敬語も失礼な場合があるせいか、綺麗な敬語を使うよう心がけている(ちなみに以前「件の」を「蔵の」と聞き間違えられたことがあったりなかったり)。そのせいか、全くといっていい程若者言葉が使えず、スラングも聞き齧りでしか覚えていない(主に親友のを聞いて漸く使い方を一部覚えた程度)。そもそも、口の悪い人が苦手なので言葉遣いが悪くなれないのは自明の理である。悲しいことに、これは小さい頃からそんな感じで、今でも口の悪い人を見ると最悪逃げ出してしまう。印象が悪いからだろうか。

 ちなみに、敬語を意識して使い始めたのは小学校高学年だったような気がする(母の教えが九割近く、残りは私が独学で学んだ)。敬語を使うのは、恐れが八割と敬意が二割というのが理由だ。また、ネット上のみだが、「さん」ではなく「殿」を使う(一部例外あり)。私から見れば「さん」はフランクなイメージとぞんざいなイメージが混じっているからこそ使いたくなかった。それに比べて、「殿」は丁度中間に入るのだ(様よりはぞんざいだから)。だから私は「殿」を使いまくるのだ。敬語を使いこなせるだけで「育ちがいい」と言われる筋合いはないが、カッコつけはしたいし、いい印象は抱かれたい。しかし、それは言葉遣いが悪くなりたいという欲求と常に板挟みの状態である。

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