魔法少女マニアへの道

 今のご時世、派手なバトルが好まれているのか魔法少女といえば「戦う系」がやたら多いような気がする。全日帯、深夜を問わずアニメだろうが特撮(数は少ない)だろうが、今「戦う系」が主流となっている。元々、魔法少女ものは単に魔法使いの女の子のドタバタコメディや、何かに変身する為の道具を貰ったことで「変身して夢を叶える」というのが当たり前だった。人助けや変身などが魔法少女のテンプレだったといってもいい。しかし、これらの作品は派手である一方、作品を作るのに膨大な知識やセンスが必要だと考えている。ここに、「戦う系」がテンプレ化した理由を見出すことができるだろう。

 「戦う系」であれば、おそらくはなんらかの目的を持った敵を主人公陣営の対になるよう配置すれば良い。シンプルで分かりやすい構図を生み出すことができるというのもあるだろう。これなら知識やセンスがなくても簡単に作れるし、派手なバトルはお茶の間に広く受け入れられる。その上、男性の視聴者も今はとても多いから、「戦う系」に特化するのは必然だろうと考えている。

 しかし、「戦う系」だけを知っていては真の魔法少女マニアとはいえない。昔ながらの正統派な魔法少女も込みで真の魔法少女マニアといえるのだ。魔法少女といえばメルヘンファンタジーかローファンタジーがお約束である。日常のちょっとしたスパイスとして魔法というツールが使われるのである。例えるならそれは「水曜日のアイスクリーム」もしくは、特別な夜のフランス料理。クリスマスのイルミネーション。可愛らしく美しい魔法少女たちの傍にはいつもちょこんと可愛らしいマスコット動物がいる。これは「戦う系」が主流になっても全く変わっていない。いっそマスコットだけのスピンオフ短編が作られてもいいくらいだ。そして仕上げに、可愛らしいステッキやコンパクト。もしくは何かのアクセサリー。非戦闘的で可愛らしい見た目のそれらは、黎明期から数多の女の子達を魅了し続けてきた。打撃に使用することもあるけれど、やはりメルヘンな夢を描くならそれに越したことはない。秘密の魔法アイテム、なんて甘美な響きだろうか。

 魔法アイテムも進歩(?)しているのか、変身アイテムが携帯端末ということも近年は珍しいことでもなくなった。ドラクエでいうところの、ラーミアから空飛ぶ汽車に変わったようなものだが、何となくもの寂しさを覚える。技術の進歩は確かにいいものなのだろう、大多数にとっては。けれど、取り残される側のこともたまには思い出して欲しい。

 

 

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