(50話突破記念短編)インスタントお絵かき

 時間や机のスペースに追われている時に丁度いいお絵かきのグッズがある。その名もインスタントお絵かきセットである(勝手に命名)。用意するものはミニバケツと、彩(カラー筆ペン。正式には「彩 あかしや水彩毛筆」)。ハガキサイズのスケッチブックに2Bまでのエンピツ(シャーペンで描かないことが重要。なんだったら側にシャープナーも用意しておこう。ついでに鉛筆がカタカナである理由は特になかったりする)、ゲルインクボールペン(黒)。あと消しゴム。お好みでクレヨンを用意しても結構。側に資料となるものがあればなおよし。これだけあればお絵かきの場所は問わない(資料はきっちり持って帰ること。万一無くしても自己責任)。

 が、いざ描き始めようと思うと逆に描けない時がある。スランプという訳ではないのだが、思い詰めるとそうなってしまうのだ。かといって安直に考えると、ソレしか描けなくなってしまう。自分の頭の中にあるものを描くのは案外難しいのだ(共感覚の人なら大丈夫そうな気もするが)。なお、コレはアナログでの話でありデジタルには対応していないので悪しからず。

 尺が余ってしまったので、私がどうしてアナログに拘っているのか語ろう。私が絵を描き始めたのは二歳の時。その時は母と楽しみながら描いていた。ゲームをするような年齢になっても、私は絵を描くのが大好きなままだった(ゲームに恐れを抱いていたともとれなくない)。沢山のノートやカレンダー、スケッチブックに沢山の絵を描き、自分の世界を構築していった。マインクラフトよりも繊細かつ的確に。それでいて何かに囚われることはなく。小中学の時に数回パクリキャラを生み出したが、高校になってからは知識が増えたのもあり、それがぱったりとなくなってしまった(分からなくなってしまった)。何かに囚われることがないのは今でも同じで、二次創作であっても通常は考えつかない組み合わせで描いたり、背景が特徴的な場合がある。それらはアナログでなければ出せない味があるのだ(デジタルはトラウマがあって敬遠しているというのもある。現に、未だにトラウマは払拭できていない)。本物の絵本のような絵は、偶然から出来上がることも少なくない。大小様々な実験を繰り返し、版画にも挑戦した。曲イメージも沢山、オリキャラも沢山(設定画がクロッキー帳にある)。

 それでも画力は一向に上がらず、仕事にはできない。天は二物を与えずというように、私に与えられたのは文章の才能だったからだ(自慢ではない)。

 

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