第48話 新たな出会いも波瀾万丈でした(第二章完)

 二年生に進級してからというもの、一年生の時と比べて俺の学園生活は随分と変わってしまった。

 一年生の時は仲の良い友達数人と目立たない日々を過ごしていたが、今はどうだろう? この賑やかさは。


「冬人せんぱあい。今日も遊びに来ましたあ」


「冬にいゴメン、今日も奏音ちゃん止められなかった」


 平日の昼休み、妹の美冬が夏原を止められずに謝ってくる。

 俺は美冬に何か買ってやる事を条件に、夏原が遊びに来るのを阻止してくれとお願いをした。でも、この状況を見ればお分かりだろうが無理みたいだ。


「美冬、夏原を止められていないから何か買ってやるのは無しな」


「ええ~? 止める努力はしてるんだから認めてよ~」


 世の中結果を出さねば意味が無いのだ。諦めなさい妹よ。


「夏原、いつも言ってるけど昼休みに来るなよ? ただでさえ目立つんだから」


「はあい、分かりましたあ」


 夏原が来る度に同じような問答を繰り返してる気がするな。


「神代、二人をそんな邪険に扱わなくてもいいんじゃないか? 上級生の懐の深い所を見せてやれよ」


 誠士が呑気な事を言っている。


「二人が来ると騒がしいし、注目を浴びるからさ落ち着かないんだよね」


 せっかくの昼休みはゆっくり過ごしたいと思いませんか?


「そうだぞ冬人。可愛い二人が遊び来ると賑やかで楽しいじゃないか。二人とも俺は歓迎するよ。いくらでも来ていいからな」


「さすがあ大介先輩、ありがとうございますう」


 大介は可愛い女子と仲良くしたいだけだから、懐の深さとか関係ないよな。


「冬人、友火! 遊びに来たよ!」

「咲間さん待ってよ。ぼくを置いていかないで」


 ショートカットの美少女コンビ? が二人教室に入って来るなり、他の生徒がザワめき始めた。春陽が歩夢を連れて教室にやって来たのだ。

 歩夢は見た目は美少女だが、学校ではパンツルックにブレザーと男子生徒の格好をしているので、男装をしているようにしか見えない。


「春陽、いつの間に歩夢と仲良くなったんだよ?」


 春陽と歩夢がクラスメイトだという事を俺は後から知った。


「歩夢くんとは同じクラスだし、なんか女の子みたいで話も合うんだよね」


「咲間さん、女の子みたいってヒドいじゃないですか。ぼくはれっきとした男ですよ」


 でも、女の子みたいって言われて歩夢は喜んでいるように見える。


「冬人こそ歩夢くんとどこで仲良くなったのよ?」


 歩夢と接点が無さそうな俺が仲良くしている事に、春陽は疑問に思ってるようだ。


「歩夢は桐嶋くんの元クラスメイトで友達だったんだよ。その関係から知り合ったんだ」


「ああ……そういえば最近、冬人はあのイケメンとも仲良しだよね。あのイケメン女子に全くなびかないから、冬人と男同士でデキてるんじゃないかって私のクラスではもっぱらの噂だよ」


「え⁉ そんな噂になってるのか……しかも隣のクラスで?」


「おやおや、それは変な噂を立てられてるみたいですね」


 噂のイケメンが自分を取り囲む集団から離れ、俺たちの会話に割り込んできた。


「桐嶋くん、俺たち変な噂されてるようだから、ちゃんと否定しておかないと」


「はは、僕は構わないですよ? 噂されても」


 桐嶋くんは別に気にしませんよ、と笑顔で言っている。


「俺はよくないんだけど……BL疑惑掛けられても気にしないのかよ……」


 ――はっ! もしかして俺、桐嶋くんの変態性癖の隠れ蓑にされてるとか⁉


「桐嶋くん、俺を盾代わりにしてない?」


「あ、バレましたか? ははは」


「ははは、じゃねえよ! 俺までBL疑惑掛けられたら嫌だからな」


 イケメンはどんな噂を立てられてもイケメンだから、で許されるが俺みたいなモブはクラスでネタにされてしまう。それだけは回避しなければいけない。


「アンタ、ロリコンの他にBL疑惑まで掛けられてるの?」


 そして今、俺たちの会話に割り込んできた女子生徒が、俺の学園生活を一変させた張本人だ。

 

「秋月……いつから俺にロリコン疑惑が掛けられてるんだ?」


 そう……彼女こそ学園一の美少女と呼ばれた秋月友火だ。彼女と知り合ったのがキッカケで今、俺の周りにいる色々な個性的な人たちと知り合う事ができた、と言っても過言では無いだろう。


「下級生まで手籠めにしてるから私が今、アンタをロリコン認定したのよ」


「いや! 手籠めにしてないから! 今だって夏原に、もう来るなよ、って悟らせようとしてただろ?」


「どうだか……」


 秋月は疑いの眼差しを向けてくる。


「まあ、いいわ。アンタが桐嶋くんとデキてれば女の子の被害者が減るし、丁度いいんじゃないかしら?」


「あはは、秋月さんは厳しいなあ」


 桐嶋くん笑ってる場合じゃないよね? 彼のメンタルは何をしても揺るがないようだ。


 こうして俺の周囲は一年生の時には考えられなかったような賑やかさになった。目立たず学園生活を過ごすのは、残念ながらもう無理そうかな?


 だけど……こうして素晴らしい友達がたくさん出来たのも、秋月と知り合ったからなのは間違いない事だ。彼女には感謝しないとな。


 そして、これから一体どんな楽しい事や素晴らしい事を秋月は運んできてくれるのだろうか? まだ二年生は始まったばかりだ。

 

 これから何が起こるのか楽しみで仕方がなかった。


第二章 完


━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━


第二章完結までお読み頂きありがとうございました!

「プロが選んだ次にヒットしそうな新作4選」というカクヨム公式の特集「カクヨム金のたまご」で紹介されました。

それも皆様が応援してくれたお陰です。

ありがとうございました!

ここで私から再び読者の皆様にお願いがあります!

私は自分の小説が一番面白い小説だと思って執筆しています。

この先も面白い小説を書くと強い決意を持って書き続けます。

しかし! やはりランキングは気になりますし、PVが少なければ落ち込みます。

作者は作品への評価、フォローやPV、感想等を糧にモチベーションを上げて執筆しています。

ランキングも作者が自分の作品が評価されているという実感を得る事ができます。

また特集で紹介された事でも励みになりました。

カクヨムでは星のレビューで評価が付けられます。星が付かないとランキングに載ることが出来ません。

第二章完結まで読んで面白かった、続きを期待している、頑張れ等、思って頂けたら是非、星でのレビューをお願いします。

皆様のお力でヒットしそうな作品から、ヒットした作品にしてください!

もう少し様子を見てから……という方は、評価してもいいなと思った時にお願いします。

目次のページを下にスクロールしていくと『星で評価する』というフォームがあり、星を1〜3つで評価を付けられます。レビューは書いても書かなくても評価は出来ます。

是非よろしくお願いします!


第三章執筆準備の為、しばらく更新をお休みします。

第三章もお楽しみに!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る