第42話 やっぱり秋月友火は人気者

 始業式も終わり、進級した俺たちは新しいクラスでホームルームがある為、教室に移動し貼り出された席順通りに席に着く。


「よう! 冬人! また同じクラスだな。一緒になれて良かったよ」


 大介が俺を見つけて駆け寄ってきた。


「そうだな、誠士も一緒だし、新しいクラスでも取り敢えずボッチは回避できたし安心したよ」


 俺は特にボッチになりたい訳では無いので、一年生の時の友達がいれば安心して新二年生をスタート出来る。


「そういや咲間は別のクラスになっちゃって残念だな。冬人も寂しいだろ?」


「別のクラスになったのは残念だけど、別に寂しいって事は無いよ。転校した訳でも無いしな」


 学年が変わると、今まで仲良くしてきた友達が離れ離れになる事が多いから、ナーバスになってる学生も多いようだ。

 新しいクラスに馴染めるかどうかを心配するんだと思う。馴染めなければボッチまっしぐらだからな。


「また秋月とも同じクラスになれたし、今度こそお近づきになるぞぉ!」


 秋月と同じクラスになれた大介がご機嫌だ。


「おっと、噂をした矢先に本人ご登場だぞ」


 大介が視線を教室のドアに向けたのに釣られて俺もドアを見ると、始業式の後は別行動だった秋月が教室に入ってきた。彼女が教室に入ってきた途端、教室が色めき立った。

 学園一の美少女の登場に、初めて同じクラスになった男子生徒が、「おお、やっぱスゲえ可愛い」、「同じクラスのなれてラッキーだわ」、「この一年が楽しみだ!」と浮き足立つ。


 そういえば一年の最初の頃は、こんな感じだった気がする。一年生の後半には教室に入って来たくらいではザワつくことは無くなったが。


「あ、いた! 始業式の後、さっさと行っちゃうから探しちゃったじゃない」


 秋月は教室に入るなり、一直線に俺の机までやって来るなり声を掛けてきた。


「お、おい地味なアイツは誰だよ?」、「秋月に声を掛けられて羨ましい!」、「一年生の時に同じクラスだった奴?」等、色々と男子生徒のヒソヒソ話が聞こえて来る。

 新学年早々、秋月のおかげで目立ってしまった。


「別に一緒に教室に行くって約束した訳じゃないだろ」


「そうだけど、一人で新しいクラスに行くのは少し不安だったんだから」


 秋月でも新しい環境には不安になるんだな。


「あら、柳楽やぎらくんもまた同じクラスなのね。よろしくね」


 秋月が俺の隣で空気になっていた大介に気付き話し掛ける。


「あ、秋月さん! ま、また同じクラスになれて嬉しいっす!」


 大介は緊張しているようで、上擦っている。女好きだが反応がウブなので面白い。


「クラスメイトで同い年なんだから、呼び捨てでいいからね」


「は、はい! えーと……友火さんと呼ばせて貰います!」


 お前は秋月の舎弟か! と大介にツッコミを入れたくなる返答だった。


 こうして旧クラスメイトと親交を温め、秋月は自分の席に向かい着席した、と同時彼女にに群がる男子生徒。「一緒になれて光栄です!」、「さっきの冴えない男誰ですか?」等、質問責めに合っている。聞き捨てならない言葉も聞こえてきたが。


「はあ、二年になっても友火さんは凄い人気だな。だが……俺はもう友達になった! お前らはまだ友達には早い!」


 秋月の取り巻きの男子生徒を見て、大介が訳の分からない事を言っている。さっき話しただけで、彼女ともう仲の良い友達気分のようだ。


 ふと、俺も秋月の方を見てみると彼女と目が合う。彼女は男子生徒に囲まれて、笑顔で接しているが戸惑っているようで、「アンタなんとかしてよ!」と目で訴えてるような気がした。

 だが俺にはどうする事もできないので、「少し経てば収まるから我慢しろ」と念じてみた。通じたかどうかは分からないが。

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