第18話 イラスト教室へようこそ!(中編)
無駄話が多いかっちーさんだが絵はかなり上手い。BL作家さんには絵が上手い人が多いのは気のせいではないだろう。
「秋月さんは小説を書いてはるんですね。ワイに、その小説を読ませてくれへんかね?」
森山先生は京都出身で、こうやって京都弁っていうの? で話し掛けてくる。
「あ、はい、ノートPCを持って来たので、それで読んで頂いても大丈夫ですか?」
どうやら秋月は、教室の為にわざわざノートPCを持参してきたようだ。
「ワイは、今から秋月さんの小説を読むから、質問のある人は声掛けてや〜」
ようやく解放された秋月はキョロキョロと周囲を見回している。
「かっちーさんに、すっかり捕まっちゃったな。あの人は話し好きなだけで悪い人じゃないから」
俺はお疲れ、と秋月に声を掛けた。
「うん、それは分かってる。いきなりだったから勢いにビックリしただけ。――それと! 私はアンタを追っ掛けて教室に来た訳じゃないから、か、勘違いしないでよね!」
秋月は顔を赤くしながら全力で否定してきた。
「あー、はいはい、分かってますよ」
俺は適当に相槌を打ちながら教室を見回した。紙に描いてる人、パソコンを持ち込んで描いてる人、みんな真剣に創作活動に
教室の片隅のテーブルにセーラー服姿の少女がいた。俺はその姿に目を奪われた。
「ちょっと、聞いてる?」
「ん? ああ、ボーッとしてた」
どうやら秋月が俺に声を掛けていたようが全然気付いていなかった。なぜだか分からないが、そのセーラー服の女の子から目が離せなかった。
「もう、ボーッとしてるのは学校だけにしてよね」
どうやら秋月の俺に対する学校での印象はいつもボーッとしてるらしい。
それにしても……あんな生徒さんいたっけ?
「森山先生、あそこの女の子は新しい生徒さんですか?」
秋月の小説を読んでいた森山先生はノートPCから顔を上げ、俺の視線の先を辿りながら答えた。
「別の時間帯のクラスに在籍してんにゃけど、今月からこのクラスに移動してきはった生徒さんやで。今、中学三年で四月から高校生いうてはった」
別のクラスから移動して来たって事は、この教室に元々通っている生徒さんだ。
「あー! 冬人くん友火ちゃんという可愛い子がいながら他の女の子に興味津々なのー?」
予想通りかっちーさんの集中力は数分しか保たなかったようだ。
「違いますよ! 見慣れない生徒さんがいたから気になっただけです」
「もー可愛い子を見るといつもこうなんだからぁ」
かっちーさん……ある事ない事言わないで。秋月の視線が痛いです。
「アンタこの教室でも女の子にデレデレしてるの?」
秋月がジト目で
「いやいや、あれはかっちーさんが勝手に言ってる事で、別にデレデレしてないって。この教室でもって……いつもデレデレしてるみたいじゃないか」
秋月が体験入学に来てから、かっちーさんは絶好調だ。俺は大迷惑だが。
「あー、神代くん、秋月さんとイチャイチャしてるところ、ほんま申し訳ないんやけど二人を紹介させてもらえへん?」
森山先生が、さっきの生徒さんに俺たちを紹介したいと余計な一言を添えて伺ってきた。
「あー、冬人くん、教室内でイチャイチャしてるー。やらしー」
「かっちーさんは黙っててください!」
「冬人くん、こわーい(棒)」
かっちーさんの悪ノリは今、最高潮だが無視する事にする。
「はいはい。かっちー、口より手ぇ動かす」
「はーい」
この台詞を聞くのは今日は二回目だ。毎回、教室では何回も聞く事になる。かっちーさん五分後には忘れてそうだな。
「
森山先生が声を掛けると夏原さんと呼ばれた少女は振り向き立ち上がった。
「はぁい」
背は低い。150cmくらいだろうか? 肩まで伸ばした黒髪のセミロングで、大き目でフレームの太いメガネを掛けているせいか、一見地味で野暮ったく見える。しかし、メガネの下の素顔は間違いなく美少女であろう事は容易に伺えた。
「この二人は神代くんと体験入学の秋月さん。同じ高校のクラスメイトやって」
森山先生に紹介されたのに続き、夏原さんと呼ばれた少女が口を開いた。
「
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
夏原奏音のイメージイラストを投稿しました。
https://kakuyomu.jp/users/t_yamamoto777/news/1177354054893603769
また、近況ノートにイラストに関するアンケートを行っていますので、御協力をお願いします。
https://kakuyomu.jp/users/t_yamamoto777/news/1177354054893603871
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます