第19話 秋月友火の相談(後編)

「本当に怒らないんだよな?」


「くどい!」


 やっぱり怒られてしまった。


「それでは僭越せんえつながら正直に感想を述べさせて頂きましょう……」


 秋月からゴクリ、と喉を鳴らす音が聞こえたような気がするが……気のせいだった。


「キャラクターの性格付けや設定が良い。後はダメ。以上」


 俺は秋月の小説の良い所と悪い所を簡潔に答えた。


「え? それだけ? もうちょっと具体的に言ってくれないと分からないわよ!」


 ええ……なんか面倒くさい。なんか少し機嫌が悪くなってるし、本気でダメ出ししたら更に機嫌が悪くなりそう。でも、このままだと帰れなさそうなので答える事にした。


「分かったよ。具体的に答えるよ。いいか、秋月の小説のネタはパクリが多過ぎる。どっかで見聞きしたようなネタばかりだ。あれじゃあ、オリジナルティが無さ過ぎて読む必要が無い。パロディーなら良いけど、真面目にストーリーが展開してるしな」


「あれは……オマージュです……」


 黙って聞いていた秋月が口を開いた。まさかのオマージュ発言。だが俺は更に続ける。


「ストーリーもさ、何か聞いたことがあるんだよね」


「……オマージュです……」


 下を向き、段々と声が小さくなっていく秋月だが……急に顔を上げ反撃に出てきた。


「アンタのイラストだって見た事あるようなキャラクターがたくさん投稿されてるじゃない!」


 秋月は自分の事を棚に上げて俺の創作についての批評を始めた。ほとんど八つ当たりだが。


「そりゃ、二次創作のイラストも描いてるんだから当たり前だろ」


「二次創作? 何それ?」


 二次創作を知らない秋月に懇切丁寧に教えてやった。


「率直な意見が聞きたいって言ってたのに、その意見をキチンと受け止めないなら俺は帰るぞ」


 俺の批評をちゃんと聞かない秋月に対して突き放すように言った。


「ごめんなさい……ちゃんと聞きます。……だってダメ出しばかりじゃ。悔しいんだもん」


 口を尖らせ、拗ねた様子の秋月も可愛かった。


「まあ、辛口な意見ばかり聞かされても面白くないよな。それは俺もイラストを投稿して批判されたりするから分かるよ。これから俺が良いと思う点と、改善した方がいい点を話すから、ちゃんと聞けよ」


「うん、分かった」


 突き放すように言い放ったのが功をそうした様で素直になったな。


「まず、キャラクターはとても良い。俺が秋月の小説のファンアートを描いたのもキャラクターの設定や、会話の掛け合い等が良かったからだ。だから、そこは伸ばしていくべきだと思う。あとは、オリジナルの要素を入れていけば良いんじゃないかな?」


 秋月は、大人しく俺の言葉に耳を傾けて、うんうんと頷いている。


「うん、分かった。今、言われた事を意識して書いてみる。あと、イラストを描いてくれてありがとう。イラストを掲載したら少しブックマークが増えたんだ。それが凄い嬉しかった。だからさ……面白い話が書けたら、また描いてもらえるかな?」


 急に、しおらしくなった秋月がお願いをしてきた。う~ん……どうしようか……と、俺は少し考えてから答えた。


「今、秋月が書いてる『異世界ハーレム(以下略)』では、もうファンアートは描かない。でも、今後、新しく連載を始めて面白かったら描くよ。ファンアートは馴れ合いで描くような物でもないし、俺が描きたいと思ったら描くよ」


 俺は正直な気持ちを話した。


「うん、分かった。面白い作品を作れる様に頑張る。また、相談するかもしれないからその時はよろしくね」


 げ、マジかよ。と思ったのが顔に出たらしく、それを察した秋月が満面の笑顔で、それはステキな笑顔で言い放った。


「だって……相談できるのは私の秘密を知ってる、アンタしかいないんだから」


 こうして、ようやく秋月からの相談を終えた。

 春陽に遭遇したり山本さんに茶化されたり、相談まで辿り着くまで長い道のりだった……疲れた。

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