第10話 秋月友火からのお誘い

 先日の学校での一件で、お互いが身バレしてから数日が経ち、イラストは『異世界ハーレム』の挿絵として無事公開され、小説の更新も滞りなく続いている。


 自室で日課である絵の練習をしていたところ、『めざし』に一通のダイレクトメッセージが届く。差出人は『フレンドリー・ファイヤ』つまり秋月からだ。


 ――そういや、メッセージが来るのは、ファンアートを描いた時以来だな……えーと……相談があるから明日の放課後、学校の外で会えないか? か……まあ、放課後に用事は無いし別にいいかな。あ、そういや明日掃除当番だっけ? 掃除当番で遅くなっても良いならオッケーと速攻で返信した直後、即返事が返ってきた。


『じゃあ、先に駅前の反省堂で買い物してるから、掃除終わったら来て』


『了解』と一言だけ返信する。


 反省堂ってあのデカイ本屋か……って、何階あると思ってるんだよ。あの広い売り場で簡単に見つけられそうも無いな……まあいいや、なんとかなるだろ。


 秋月の大雑把な待ち合わせの約束だったが、気にしない事にした。



◇ ◇ ◇



 翌日の昼休み、いつものように素早く昼食を済ませ、クロッキー帳を開いて絵の練習をするのが日課になっている。大体は大介が邪魔にし来るから短時間しか練習できないけど。


「アンタ、いつも昼休みに何か描いてるわね」


 後ろから肩をチョンチョンと突かれ、集中していたせいか俺は身体をビクッと震わせ振り向くと、そこにはいつも練習の邪魔しに来る大介では無く、秋月が覗き込んできた。


「ごめん、驚かしちゃった?」


「あ、ああ秋月か。絵を描くのは日課になってるからなあ……教室じゃあ描ける物が限定されるからデッサンやクロッキーが中心かな」


「さすがにいつも描いてるエッチなイラストは教室で描けないわね」


「……俺がいつもエッチなイラストばかり描いてるみたいじゃないか」


「あら? 違うの?」


「秋月……お前とはちゃんと話し合う必要がありそうだな……。で、わざわざそんな事を言いに来た訳じゃないだろ?」


「今日、待ち合わせで連絡が取るのに『めざし』のダイレクトメッセージだと面倒だから、LimeTalk(ライムトーク)のID交換しましょう。やってるでしょ? ライムトーク」


 ライムトークとは今時の高校生ならほぼ百パーセント、スマホなり携帯にインストールしているメッセージアプリだ。スマホなら無料通話もできるので貧乏な高校生には必須のアプリだ。


「ああ、やってるよ。反省堂で待ち合わせとかどうすんのかと思ったよ。じゃあ、俺がQRコード表示するから登録しといて」


「……ん、登録したわ。学校終わったら先に行ってるから待ち合わせ場所は後でアンタに送るから」


「おう、よろしくな。……ところで、いつから俺の呼び方が『アンタ』になったんだ?」


「なんか『アンタ』が一番シックリくるのよね。神代くん……冬人くん……呼び捨て? アンタ……うん、やっぱりアンタは『アンタ』が一番呼び易いわね」


「はあ、まあ好きに呼べばいいよ。『冬人くん』とか呼ばれたら逆に何か背中がゾワゾワして鳥肌が立っちゃうかも」


「そうそう、アンタはアンタで十分よ。じゃあ、また後でね」


 何が十分なんだかよく分からないが、お互いID交換も済ませ、後でね、と秋月は立ち去って行った。

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