　12/30　19：07

「――血を頂戴」

　そう言った幼馴染を殆ど働かない頭で見上げた。

　そういえば雪が風邪引いたのを見たことないな、寒さに強いのかな、雪国産まれの俺より強いとかすごいな、でも血を下さいって何だろう、なんで雪はウェアを脱いでるんだろう、なんで雪は裸になっているんだろう、なんで。

「……」

　何かを言おうとして口を開けたけれど、声が出なかった。

　目を瞑った訳じゃない。奇妙な事をいう恋人への疑問もあったけれど、余りにも真剣な言葉で。そんな時に目を瞑る気にならなかったし瞑らなかった筈だ。

　じゃあ、なんでそこに、狼がいるんだろう。

　狼と目が合った。

　幼馴染と同じ目をした狼と。

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