あった。
12/30 14:14
結論だけを言うと僕たちは彼を見つけたのだ。
遅かったけれど。
スキー場は整備されていて、でもスキー場以外は手付かずのただの山だ。山では人は簡単に事故に合う。
地面に落ちた小さな赤い染みに気付いたのは雪で、一つ見つけた手掛かりは次の手掛かりを招いた。とにかく無線に状況を一方的に伝えて、染みを追った先に彼を見つけることになった。
今までもこういった事故は起こっていたけど自分で見つけるのは思ったよりもショックで、二人で思わず彼から離れたところで立ち尽くしてしまった。
そして、その判断遅れが別の事態を招いた。。
転げ落ちるように悪くなる天候に戻る道を見上げた時は手遅れだった。
「春くん、乗せて上げて」
雪が履いていたボードをからブーツを外すとバックパックからキーロックを取り出してビンディングに巻き付け始めている。
「……え」
「絶対このままだとこの人見つからなくなるよ」
「あ……ああ、そっか。そっか」
この吹雪の後に僕はここに正確に戻る自信はない。彼女もそうだ。
ここでどうにかしなければ、雪が覆い見失う。
春になれば雪が解けて流されていく。
この人は何処かにいなくなってしまうのだ。
「って、言ってもどうすんだこんな吹雪だぞ!?」
視界を確実に埋めていく白と風に対抗するように声が大きくなった。
僕たちだってどうなるか分からない。思えば無線に返事がない時点で連絡が出来なくなっている可能性を考えるべきだった。
「あっちに洞穴っぽいの、天気が悪くなる前に見えたから。そっち向かおう。どっちにしてもこのまま此処にいても私達もアウトだよ。それに、この人役に立つ……ものを持ってるかもしれないし」
決然と告げると彼女はキーロックの先端を僕に渡した。
そんな彼女に気圧されてしまい、僕はスノーボードと彼を引きずり彼女の指さした方向へと歩き出した。
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