006 黒猫との出会い ~06~

「ただいまー」

「おそぉい!おなかすいた!!」

 涼雅が帰宅するとカイはすぐさま駆け寄り、空腹を訴える。涼雅は猫を飼っていたらこんな感じなのかな?とぎるが、そもそも喋る猫がいないと考えを改めた。


「ごめんね。お弁当買ってきたから。これ食べて」

 玄関からテーブルに移動しながら、涼雅は手にしていたビニールの袋から猫缶を取り出した。

「これは昨日とは違うけど、おいしいのか?」

「えっと、多分おいしいんじゃないかな」


 カイに「猫」と言うと、過敏に反応を示すので猫缶ということは伏せて渡した。カイは興味津々で猫缶に近づき、ペシペシと猫缶に触れる。

「このまま食べられる?」

「これは開けて食べるものだよ。待ってて」


 猫缶を開け、食べやすい様にお皿に盛る。カイは目を輝かし、涼雅を見つめながら、無意識かは分からないが尻尾を揺らしながら待っている。

「はい。これで食べられるよ」

「じゃあ早速たべるぞ!」


 勢い良く食べ始めたカイは美味しそうに食べていた。胸をなでおろした涼雅はビニール袋から半額シールが張られた弁当を電子レンジに入れた。

「ウガッチ!これおいしいぞ!」

「それはよかった」

「ウガッチ明日もおそいのか?」


 口の周りに食べカスをつけたカイは質問をしてきた。

「今日は金曜日だから、明日と明後日は休みだよ」

「だったら魔法の特訓に行こう!」

「でもなぁ、勉強しないといけないんだよね。それにもうあの龍は襲ってこないんじゃあ?」


 涼雅は質問に返すと、温まった弁当を取り出し、カイの近くに腰を下ろした。

「あまい!あいつは引き返しただけだから、いつ来るかわからないぞ!」

「えぇ……。そうなの?」


 涼雅は嫌そうに言うと、弁当を食べ始めた。一足先に食べていたカイのお皿はキレイな状態になっていた。

「それにオレッチと契約を結んだんだから、少しでも強くならないとなんかゆるせない!明日だけでも特訓にいけないか?」

「確かに、次戦う時までにできることは増やした方がいいね。分かった、明日だけだけど特訓に行こうか」


「よし!じゃあ明日よろしくね!多分なんとかなるとおもうから!」

「え?それどういう意味……」

「じゃあオレッチ準備するからねるね!」


 カイは涼雅の質問を聞かずに涼雅の寝室へと向かっていった。

「……。襲ってくるとかじゃない、よね?」

 ぽつりと不安を漏らしたが、それに回答するものはいなかった。






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