第3話 俺はおっぱいを揉む
おかしいことを言っている自覚はある。これがブサ面だったらただの不審者で交番直行であるが、俺は幸運にもイケメンである。
ちょっと変な人で済む。 ※済まない。
「「は、え、えええええええええええええええええ⁉」」
そう言うと、ズザザザザザザ、と距離を————取らなかった。やったあ、イケメンの勝ち!
顔面真っ赤である。通報とはいかないまでも、少し嫌われてしまったかなと思ったのだが、どうやらそうではなかったらしい。
「奏斗さんって、意外と積極的なんですね」
かああ、と頬を一気に紅潮させて、清純派な感じのする貧乳美女は近づいてくる。
もう一人、活発な印象を与える小柄な、しかしふくよかな胸を持つ美少女が近づいてくる。
んん? んんん? これはまさかの……
「ちょ、ちょっとだけだからね!」
まじですか。俺この子たちと話した覚えがないんですけど? いくら親しみやすくなったイケメンとして学校中に噂が広まっている相手でも、初対面の相手におっぱい揉ませますか?
もちろん否である。こいつらが間違っている。
だが。
「おう、触らせてもらえると助かる」
既にそんなことは分かりきっている。俺だって割と常識が吹っ飛んでいるし、こいつらは言うまでもない。
しかし、一番問題なのは。
「ここで触るのか?」
「へ? 違うんですか?」
当たり前だったのね。君いきなり脱ぎだしてるから部活生からめっちゃ注目集めてるけどね。
巨乳美少女が告白していれば、校舎裏でも見に来るのだろう。だってここは本来、部活生には見えない位置なのだから。
という訳で、まず移動しようか。
俺は初めから気崩していた制服のボタンを三つ目まで外した、エロい状態の美少女と美女を連れて、絶対に人が来ないであろう体育館裏まで逃げ込んだ。
ここまで来たとしたら、正真正銘見に来ていることがばれてしまう。部活生たちもさすがにそれは避けたいだろう。
「はあ、はあ、奏斗さん、足速いです……」
もともと紅潮した頬がさらに紅潮して、もう林檎すら突破している気がする。可愛い。
で、本題はここからだ。もう、二人は服を脱ぎ始めている。肌の露出が増えていき、遂にシャツを脱ぐ。よし、揉もう。
しかし、早速手を伸ばす俺に対して、彼女らの反応は予想していたものとは違った。
「ん? 何でまだ脱いでんの?」
背中に手をまわし、ブラのホックまで外そうとしている二人に対して、俺が不思議さも露わに問う。すると。
「だってっ! 生じゃないと感触が分かりにくいでしょっ!」
いやまあそうかもしれないが。しかしそしたら。
「乳首見えるよね」
完全セクハラだが、もう既に色々おかしい俺たちには常識は通用しない。
だから、俺たちは考えた結果、一つの結論に辿り着いた。
「後ろから揉めばよくね?」
「「あっ! それですっ!」」
こうして、おっぱい戦争が始まった。
◇
「って、ことがあったんだよ」
「で、お前は揉んだのか?」
友人であるはずの椎名が何か怖い顔をしていらっしゃる。後どす黒いオーラを立ち昇らせている気がする。
しかし、残念ながら俺は嘘を吐くことができない体質だ。
だから。
「ああ、揉んだ」
やけに深刻そうな表情で、俺は重々しく頷いた。
それに対して何かを感じたのか、椎名も重々しい表情で再び問いをぶつけてくる。
「どっちがよかっ——」
「明日見くん! 一年の娘と三年の先輩が呼んでるよ!」
椎名の声を遮って、クラスメイトが俺を呼ぶ。
やっときたか、その時が。
俺は何かを覚悟した男の表情で、ガタンと音を立てて立ち上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます