第44話 センター試験の時期的に年末商戦後だから、受験生じゃない学生モンハンやってる説


モンハンをやりながらふざけた感じで八木教授に見送られた田中は、センター試験会場の教室の中で一人緊張感に襲われていた。


もしかして、さっき、ふざけた感じでモンハンやりながら見送りをしていた八木教授は、この緊張をほぐすためにモンハンをしていたのかなと一瞬だけポジティブに考えたがその考えをすぐに自分の中で否定して消した。


ーあの人は、ただモンハンやりたかっただけだ。絶対に深い意味なんてものはない…


周りを見渡せば、他の受験生がセンター試験前の最後の追い込みなのか、参考書やノートに目を通している。

センター試験までもう少しだ。


迫りくるセンター試験のプレッシャーに田中は、押しつぶされそうになっていた。


そして、試験官が教室に入って来た瞬間、周りの受験生は、手を止めて、机に広げていた参考書やノートを、各々の鞄の中に仕舞い始める。


センター試験直前だというのに、プレッシャーに押しつぶされて、田中はセンター試験前の最後の追い込みが出来なかった。


センター試験の問題用紙と解答用紙が配られ始める。


受験生全体への用紙の配布が終わると、試験官の男は、センター試験の説明を始める。


受験生全体が試験官の言葉に全神経を集中させて、聞いているのを感じ、田中も周りに合わせて、試験官の説明を聞く。

そして、試験官の説明が終わり、遂に、試験官の合図と共にセンター試験本番が始まる。


周りの受験生が、問題用紙を開いて、解答用紙を開き始める中、田中は、問題用紙すら開かず、不安、プレッシャーから来る負の感情で、目をつぶってしまい、お腹を抑えていた。


ー遂にセンター試験本番だ。だ、大丈夫かな…。


目をつぶると聞こえてくる、周りのシャーペンで、マークシートを塗りつぶす音、問題用紙をめくる音。


暗闇の中でのこの音が、周りの受験生が、スラスラと回答している、なんでこんな簡単そうに問題を解いているんだ、勝てないという不安感の無限ループとなり襲い掛かってくる。


この不安感の中、自分の中の暗闇世界に迷い込んでしまった田中の脳内に一人の男が現れた。


片手にゲーム機を持ち、目線は、手に持つゲーム機に集中している白衣の男。


センター試験前に田中を見送った八木教授だった。


ーそう言えば、八木教授が僕を見送る前にこんな事言ってたっけ。


『お前の敵は、周りにいる受験生ではない。お前自身だ。お前は、お前自身との戦いに勝って、このセンター試験という中間地点を乗り越えて東大受験本番に進むんだ。分かったなら、とっとと狩って来い!!!』


その言葉を思い出して、田中はぼそっと呟いた。


田中「はは。あのバカ教授、なんでもかんでもモンハンに例えるなよ…」


田中は目を見開き、暗闇の中の自分の世界から脱出し、センター試験の問題用紙を開いた。


ーこれから、戦う相手は、周りの受験生ではない。自分自身との戦い!途中通過点のセンター試験というモンスター!とっとと、狩らせてもらうぜ!!!


田中は、神経を集中させて、このセンター試験をというモンスターに、刃を突き付ける。


つづく

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