第38話 友達同士でも意外と知らない事が多いのはあるある


ー八木教授は元々、鈴木の師匠で、そのせいで東大受験に失敗した…!?


鈴木の衝撃発言に田中は驚きを隠せなかった。


ーなぜ?八木教授に付いて行った鈴木は、東大受験に失敗したのか・・・


田中の内に秘められし疑問の好奇心の洪水が湧き出して来る。


田中「一体、何があったんだ?」


鈴木「そんなナイーブな事を聞きたいか?まあ、負け犬土下座くんの最後の土産に教えてやるよ。糞八木教授は、2年くらい前に、東大合格者10人プロジェクトをやった。その時の参加者の一人が僕だった」


田中「え?そんなあの教授そんなすごそうな事やってたの!?」


鈴木「え?ほんとに知らなかったの?あ、うん。まあ、そうか…。まあいい」


衝撃の事実に驚く田中を見て、一瞬、キョトンとしたが、すぐに立て直して鈴木は続ける。


鈴木「あいつのふざけたプロジェクトに参加したが、あいつの授業は、それは、それはひどいものだった。勉強することの楽しさの本質から教えるとか言っておきながら、全然東大受験とは関係ない話ばかりしていた。参加した俺もバカだったのかもな。あまりにふざけた事ばかりしていて、内心この変人教授に付いて行って大丈夫なのかって気持ちが大きかった」


田中「あ、それは、分かるかも・・・」


鈴木「結果は、俺の思っていた事は的中した。このプロジェクトで俺以外の9人が東大に合格した。俺は、この変人教授に問い詰めた。俺は落ちこぼれなのかってね。だけど、あいつは何も答えてくれなかった。そして、あいつは俺の前、いや、世間の前から逃げ出して姿を消した。俺は、あいつに付いていった事が失敗だったんだ」


田中は、鈴木の言葉を聞き、生中継土下座バトルに負けた帰り道で、雨の中、八木教授に問い詰めた時の自分の境遇と重ねて、黙り込んだ。


鈴木「俺が東大受験に失敗して、投げやりな浪人生活をしていた時に、師匠の新海教授が現れた。そして、あいつが、ふざけたビラを配って東大合格者計画を再開しようとしてた事を知って、俺の中のあいつに対する憎しみが吹っ切れたね。まあ、あいつの計画を、俺が本当に付いていくべきだった師匠の新海教授と共に、弟子もろとも完膚なきまでに潰せてよかったけどな。な!負け犬土下座くん」


鈴木の言葉を聞いて、田中の中で怒りの感情が込み上げてきた。


ー完膚なきまでに潰せてよかった?いや、まだ、終わってねえだろ…


田中「おい。鈴木」


田中は静かに田中を睨む。


鈴木「なんだ?負け犬土下座くん」


田中「まだ、終わってねえよ。途中経過で粋がってんじゃねえ!東大受験本番で、俺と八木教授でこの土下座の屈辱を利息たっぷり付けまくって突っ返してやるよ!!!」


田中はものすごい剣幕で鈴木を睨みつけた。それに対して、鈴木は鼻で笑う。


鈴木「やってみろよ。負け犬土下座くん。東大受験本番でも土下座させてやろうか?」


田中「覚えておけ!今度、土下座するのはてめえらの番だからな!土下座の練習ちゃんとしておけよ!」


田中は、鈴木に対して、勢いよく中指を立てた右手を突き付ける。


鈴木「そっくりその言葉返してやるよ」


田中と鈴木は、お互いににらみ合った。


鈴木と別れた後、田中は、八木教授のアパートに向かって勢いよく走った。


つづく

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