第26話 残り10分の反撃
八木教授の叫びで現実に戻された田中
田中「後20分…」
まだ、思考はごちゃごちゃする。
そういえば、八木教授が前にこんな事言ってたっけ。
頭の中で考えててもまとまらない。紙に殴り書きでもいいから書け。
田中「考えまとまらない…殴り書き…なんでもいいから書く」
田中はボソっと呟いた後、急にテストの用紙を裏返しにし、白紙の紙に殴り書きし始める。
その衝撃的な光景を見た司会者、新海教授、鈴木が唖然としている中、ただ一人、八木教授はにやりと笑う。
新海教授は笑い出した。
新海教授「あいつはバカか。テストの残り時間残り20分もないんだぞ。ああ。そうか。これが革命教育ってやつなのかな?」
バカにしてくる新海教授の言葉に耳を向けず八木教授は椅子に座り直し、田中を見つめ続ける。
田中の思考はごちゃごちゃしていた。
スタートからの絶望的な展開の連続、残り20分というプレッシャー。
だが、紙に殴り書きし始め、田中の頭の思考はまとまり始めた。
ー前に八木教授が言ってたっけ。本質を見ろって。この映画の本質はなんだ?そもそも日本人が日本語使うと同じで外国人が英語使う事って同じじゃないか?
田中の思考のパズルのピースは徐々に重なり始めた。
ー最初に問題見た時、一週間死ぬ気で勉強した所と違うというだけで問題見ただけで解く前から諦めていた。
だけど、全部知らない英単語だったか?知ってる単語だってあったじゃないか?
もし、僕が外国人だったらどう伝えたら伝わるか?
難しい英単語組み合わせるか?
いや!相手に伝わる事を考えて伝える!
田中は、問題用紙をめくり、もう一度問題に目を通す。
ー知らない英単語もあるけど、知ってる英単語もある!これを僕が知ってる英単語で組み合わせて、相手…採点者…試験官に伝える!
田中の思考のパズルが…カチッと音と共に繋がり始めた。
そして、遂に田中はペンを握り問題を解き始める、
八木教授はその光景にまた、椅子から立ち上がり叫んだ。
八木教授「いっけーーー!!」
司会者は、時計に目をやり、宣告する。
司会者「の、残り10分です!」
司会者の宣告にも、一切の動揺なく田中はひたすら問題を解き進める。
運命の時が来た!
司会者「時間切れです!!」
絶対に負けられない試合のゴングが鳴った。
つづく
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