第6話 ミーハー心と嫉妬心
先月、旦那様と映画を観にいった。
実は好きなジャンルが全然被らないのだけれど、最近はデートをしたいがために妻がよく誘っている。
何より、「1人で映画を観てくる」と言うととても寂しそうな顔をするので、なるべく一緒に楽しめるような作品を選んでいる。
その甲斐あってか、最近は月1回ぐらいのペースで映画鑑賞をしており、この日もディナーからのレイトショーというコースに落ち着いた。
映画の場合、予告からエンドロールまで全て見るタイプだ。
きちんと開始時間に間に合うように移動し、旦那様が定番のポップコーンとコーラを買うのを待って席に着いた。
ほどなくして予告が始まったのだけれど、何本目かに「燃えよ剣」が流れるのを見て驚く。
あれを映画化するのか…(偉そうに言っていても原作は未読だ)と思いつつ、旦那様の腕を軽く叩いた。
「見て。『燃えよ剣』やるらしいよ」
「本当だ」
「観にいこう」
「……誰が出るの?」
「(V6の)岡田君」
「……」
途端に無言で顔を背ける旦那様。
これはもしかして焼きもちだろうか。
岡田君が好きだと言った覚えはないはずだけれど、妻の好きな俳優の基準(かっこよくて演技が上手くてアクションシーンもこなせば最高)を知っていれば自ずと推測できるだろう。
でも今回に関しては、旦那様だって絶対興味があるはずだ。
「ねえ、観ない?」
「……」
「『燃えよ剣』だよ」
「……」
「旦那様の大好きな新撰組だよ」
そう、旦那様は無類の新撰組好きである。
新撰組を新「選」組と表記しているのを目にする度に、いちいち文句をつけるぐらい好きなのだ。
(ちなみに妻は、昔放送していた大河ドラマ「新選組!」で見た程度の知識しかない)
だから主役がイケメンの岡田君であろうと、妻のミーハー心が面白くなかろうと、惹かれないはずがない。
「一緒に観ようね」
「……わかった」
最終的に頷いてくれたので、また1つ楽しみができたことを喜びながら本編に集中した。
拗ねる旦那様も可愛いから好きだけれど、あまり焼かせると口を利いてくれなくなるので気をつけようと思う妻だった。
そしてこの日の帰り道。
「燃えよ剣」から話題が発展し、なぜか新撰組を取り扱った作品である漫画「ちるらん」のことを思い出した旦那様が、翌日にはネットで全巻大人買いしていたのだけれど、それはまた別の話。
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