番外編 バレンタインSS
「お母さん!わたしにチョコレートの作り方教えて!」
「いきなりどうしたの?」
「え、あ、いや、テツにあげようかなって。ほら、明日バレンタインだし…」
「あぁ~なるほどねぇ。彼氏だもんねぇ?」
って言いながらニヤニヤするお母さん。何よ。別にいいじゃない!
明日はテツと付き合ってからはじめてのバレンタインなんだもん。変なのは渡したくないし…。
「ほら、いいから早く!材料は買ってあるから!」
両手に持っていたスーパーの袋をドン!とおく。チョコを置いた音じゃない?いーえ、チョコです。失敗してもいいようにたくさん買ってきたのです!
「す、凄い量ね…。わかったわ。じゃあ早速作りましょうか!」
「おねがいしまーす!」
◇
はい、そして出来たのがこちら、【チョコクッキー】と【ガトーショコラ】になります。
ちょっと失敗したけど、割りとすんなりできた感じ♪筋がイイのかも?
それを、チョコと一緒に買ってきた包装紙とリボンでラッピングして完成!後は冷蔵庫に入れて明日渡すだけ。余りは一応お父さんにもあげようかな?
よし、今度は明日の洋服決めないと!明日は丁度土曜日だから学校もお休み。だから朝からバレンタインデート♪
10時にはテツが迎えに来るからそれまでに準備を終わらせないといけない。
シャワーとか髪のセットに化粧の時間もあるから、今の内に決めとかないと時間が足りないの。ってわけなんだけど…
「どうしよう?何着ていこう?」
とりあえず最近のデートで着た服ははぶいて、お気に入りのを何着かベッドの上に広げる。
「う~ん…。これだと動きにくいし、こっちだとちょっと肌出しすぎ?まだ寒いしなぁ。でも、意識してくれるかな?むぅ……」
1時間ほど悩んで決めたのはこれ。
黒のスキニーにデニムのスカート、薄ピンクの少し胸元が開いたニットに、白のダッフルコート。私の胸は大きいから、胸元開いたのはちょっと悩んだけど、多分周りの視線からはテツが守ってくれるからいっか!へへ
よし、後は寝るだけ。寝坊したら大変だしね。
寝る前にテツにメッセを送る。
『明日楽しみだね♪おやすみ♪』
『あぁ、俺もだ』
いつも通りのぶっきらぼうな返事。けど最近は照れてる時とそーでないときが、わかるようになってきた。かすかに耳が赤くなるの。可愛い❤️
…………ヤバい、楽しみすぎて寝れない!
ヤバいヤバいヤバい……ぐぅzzz
◇
はい、朝です!寝坊?もちろんしてませんよ?今は化粧も終わって髪のセット中。今日はアリスから貰ったシュシュでまとめてサイドテールに決めたの。
後はテツの迎えを待つだけ。
ピンポーン
来た!玄関にダッシュ!
「はーい。あっ、テツおはよ♪もう少しで準備終わるから待っててね?」
「あぁ、わかった。急がなくていいからな?」
「は~い!」
どうしよう!今日のテツ凄いカッコいい!いや、いつもカッコいいんだけど今日は何か違う気がする!バレンタイン効果?まさかね?
「お待たせ。じゃあ行こっか!」
「あぁ。楓、その…なんだ」
「ん?なぁに?」
「今日の楓の格好なんだがな?」
「うんうん!」
「か、可愛い……ぞ」
耳あか~い!顔もあか~い!可愛い❤️そしてすごく嬉しい…。
「えへへ~ありがとっ♪」
思いきってテツの腕に抱きついてみる。安心するなぁ…。
「ただな?」
んん?
「その、目のやり場に困るとゆーかなんとゆーかその…他の奴も見るんじゃないか?」
「大丈夫!人目があるところではコートを上まで閉めておくから。それにそーゆーのからは守ってくれるんでしょ?あっ!でも、テツだけは見ても…いいよ?」
「っ!いや、俺は…」
さっきから視線がチラチラ動いてるもんね~?ちなみにわざと当ててますよ?気づいてる?
テツに見られるのは、恥ずかしいより嬉しいのが強いから全然どーぞ?
その後は、先に軽く昼食をとったら映画を観に行って街をブラブラ。だんだん薄暗くなってきたところで家に向かって歩きはじめた。
「ねぇ、ちょっと公園寄ってかない?昔よく遊んだあの公園に」
「ん?いいぞ」
「やたっ!」
公園到着!都合のいいことに人もいないし、丁度いいかな?街灯の近くのベンチにテツを引っ張っていって一緒に座ると、バックから綺麗にラッピングされた袋を取りだしてテツの目の前に差し出す。
「じゃーん!バレンタインのチョコだよ!どーぞ!」
「嬉しいよ。ありがとな」
そう言って笑ってくれるテツ。滅多に笑わないからかなりレアだ。写真とっておけば良かった!
「食べて食べて」
「今か?」
「うん、感想聞きたいし!」
「じゃあ」
テツが、音をたてながらリボンをほどいて中を覗きこんでる。
「これ、手作りか?」
「お母さんに教わりながら頑張りました!」
「すごいな。じゃあまずはこの…これ、なんて名前だ?」
「それはガトーショコラってゆーの」
「そうか、それから食べてみるか」
「………どう?」
「うん、うまいぞ!」
「良かったぁ!」
「次はこのクッキーだな…うん、これもうまい。一気に食うのもったいないから帰ってからゆっくり食うかな」
「クッキーは日持ちするけど、ガトーショコラは早めに食べてね?」
「わかった。本当にありがとな」
「まだあるよ?」
「まだ?……この二つ以外入ってないぞ?」
袋を覗きながら言ってるけど、袋には入ってないんだよね。だって入らないから。
付き合ってからそんなの経ってないから、わたしとテツは、まだ手を繋ぐくらいしかしたことがない。
テツからは絶対に手を出してこないもん。
だから、バレンタインだしせめてキスくらいは…いいよね?
「えーと、あのね、今日バレンタインだよね?」
「あぁ」
自分の顔が熱くなるのがわかる。多分耳まで赤くなってる気がする。
すっごい恥ずかしいけど…大好きだから。
「だからね?あのね…チョコっとだけならわたしを食べてもいいよ?」
そう言ってテツの顔を見上げて目を閉じた。
◇
ピピピ ピピピ ピピピ
ん~!もう朝かぁ。なんか夢見てた気がするけど…うん、思い出せない。まぁいっか!
あれ?なんかメールきてる。たまにくる迷惑メールかな?内容は…
【このお話は本編とは関係ありません。これからの二人をお楽しみに!フォロー、応援メッセージ、レビュー等お待ちしています。】
え?なにこれ?
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