3 ルナの部屋 ようこそ。月へ。プリンセス。
ルナの部屋
ようこそ。月へ。プリンセス。
「どうぞ」そう言って、自分の人差し指を使ってドアを開けたルナは、サンを自分の部屋の中に招き入れた。
「ありがとう」ルナの部屋に入る際、そう言って、わざとらしくサンは優雅に自分の白いスカートの裾を持って、それを軽く広げて、ルナに小さくお辞儀をした。
そんなサンを見て、ルナはくすっと小さく笑った。(サンもくすくす笑っていた)
二人は部屋の中に移動をした。
ルナの部屋はとてもシンプルな部屋だった。
宇宙を舞台にした映画で見るような真っ白な宇宙ステーションの中のような空間の中に、真っ白な大きめのベットが一つ置いている。それから、仕事用と思われる大きなディスプレイ内蔵型のガラスの机。座り心地の良さそうな椅子。そして、白い棚のようなものが一つ。
その上には緑の小さな木のような植物が植えられている鉢が一つだけ置いてあった。
それに壁に収納されている、真っ白なクローゼット。
あるのは、本当にそれだけだった。
単純なものの数の比較なら、ルナの部屋はサンの部屋の十分の一くらいしか、ものが置いてなかった。まあ、サンの部屋のものの数が多いということもあるのだけど……(きっと洋服や靴。それに下着やアクセサリーの数なら百分の一くらいしか、ルナは持っていないだろうとサンは思った)
サンは持ってきた旅行用の大きなトランクを部屋の隅っこに置いた。
「綺麗な部屋だね」サンは言う。
「どうも、ありがとう」変な笑顔で、ルナは言う。(きっと皮肉だと思ったのだろう。まあ皮肉なのだけど)
「ねえ、ルナ。音楽、かけてもいい?」きょろきょろとルナの部屋の中を観察しながら、少し歩いたところで、サンは言う。
「もちろん、いいよ。そこのディスプレイから音楽を選曲できる。そこからサンの好きな音楽を選んで」
そう言って、ルナは少し移動をして、ディスプレイを自分の指で触った。(相変わらずルナの指は綺麗な指だった)
すると、ぴ、と言う電子音のあとに、透明だったディスプレイには明るい白い光が灯って、そこには、白い色をした、いろんな光学模様の小さな四角い画面がいくつか表示された。
ルナはその一つの画面を簡単に指で操作して、それから体を横に動かして、サンにそのあとのディスプレイの操作を譲った。
「ありがとう」サンは言う。
それからサンは音楽を選曲して、その曲の横にあるボタンを押した。(それはとても有名なクラシック音楽だった。『月にぴったりの曲だ』)
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