捜索依頼
――ヴェラスケスを探して、この子猫を返すのを手伝って欲しい。
それがシャバーニの依頼だ。
「――さすがにゼニ取るのはなぁ……無理やろうし、今回は
エイジャを見上げて諦め気分でそんな事を言ったタキシードに、シャバーニが懐から何かを取り出して差し出してきた。それは桃色が、緑色に包まれた宝石だった。
「――これ、
エイジャがタキシードの代わりにそれを受け取ってかざして見て、言った。
「……森で見つけたんか。綺麗だから取っておいたと。これ結構ええ石やで、シャバーニ君。ええの?」
タキシードは犬以外の動物には優しい。タキシードはちょっと貰い過ぎな報酬に遠慮した。しかしシャバーニ君は当時のお礼もしていなかったからと、そう言ってそれを支払うことを主張した。
「シャバーニ君……中身までイケメンになったんやなぁ」
「
タキシードがポスポスとシャバーニの腕を叩くと、彼は大事そうに持っていた子猫を差し出して来た。タキシードがその子猫の首根っこを咥え上げる。
子猫は
タキシードがそんな子猫をエイジャに渡す。
「シャバーニ君が歩きにくそうやから、エイジャが抱えて運んだって」
「うん、分かった」
エイジャは二つ返事で子猫を胸に仕舞った。柔らかそうな胸の谷間から子猫がきょとんと顔を出してミーと鳴いていた。
「……それ、あり?」
「ありあり。だってここしかないもん」
エイジャの服、面積少なすぎ
――後でじっくり討論しなくては。
「ワシ用のケージ使ったらええやん」
「この子の名前はどうしよっか?」
タキシードの指摘を華麗に無視したエイジャが、子猫の頭を撫でながらそんな事を言った。タキシードは納得できないものの、うーんとしばし唸ってから口を開く。
「親の名前を襲名したらええ……自分、ニュートンって名乗りや」
「ニュートン……いいね。よろしくね、ニュートン!」
エイジャがそう言ってにこにこニュートンの喉を掻いた。ゥホゥホと言ってニュートンに顔を寄せたシャバーニも、どことなく笑っているように見えた。
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