白の閃光

黒い悪魔ブラックデビル!!」

「何……!? 追っ手か!」


 それがここから離れた森に着地。距離的に下手すれば衝撃で自分たちが吹き飛ぶはずだが、伝わったのは落下による地揺れだけ。黒い悪魔ブラックデビルの特性によるものだ。

 祝いの席は一変、緊張に包まれる。


「総員戦える者はマシンナーズへ騎乗! 俺もドラッケンで出る!」

「艦長……!」

「ラッミス! 戦いの時は来た。ノクトよ!」

「おうとも」


 ノクトたちもアーヴァインに続き自ら作り出したマシンナーズへと騎乗する。サイズが通常のマシンナーズの小型のもので、一人で動かすには扱いが難しく、五人での騎乗となる。

 船団の行動は早かった。伊達に惑星を渡り歩いていない。緊急事態への対応は万全だ。

 しかしそれが戦闘ともなると話は別。狩りにマシンナーズを使ったことはあれど、惑星一つを滅ぼす存在との戦いは流石に初……何せ、イザナミからも逃げてきた面々なのだ。何人かは死ぬだろう。その覚悟は済めど、隣人が死ぬことを許容できるかと問われれば否。自らの命よりも、隣の友を守るため、それぞれが武器を手に取る。

 黒い悪魔ブラックデビルの装甲のことはノクトたちに良く聞いている。ニャーを滅ぼした元凶との戦いの経験もあって、武装の威力は計算上は装甲を貫けるレベルだ。

 しかし一撃で粉砕するほどの威力は持っていない。そこまで高めることができなかった。


「来るぞ!」


 ゆっくりと、黒い悪魔ブラックデビルが姿を現す。

 落下してきた数は総勢二十。対しノアの面々の機体はドラッケン01ゼロワン他十二機。キャットマンたちの猫型機体『ホワイトキャット』が五機の十七機。数では黒い悪魔ブラックデビルで劣るが、勝機はあるとみていた。

 過去に惑星を滅ぼした時、あまりの数の多さに倒しきれず滅ぼされた。数えることができないレベルだった。


「数は少ない。確実に仕留める!」


 ドラッケン01ゼロワンが号令し、総員が一斉射撃する。

 一撃で倒すことは不可能。しかし数が揃えば怖くない。

 近距離戦に持ち込まず、遠距離からひたすらエネルギー弾など射撃武器で砲撃をする。

 黒い悪魔ブラックデビルの内三体が高く飛び上がった。知能は低いが生存本能がそうさせたのだろう。そのまま部隊に飛びかかろうとする。

 装甲は銃撃によりかなりのダメージを追っていた。これならば、れる。


「私が行くッ! お前たちは砲撃を続けよ!」


 アーヴァインがドラッケン01のエネルギーの大部分を武装の一つ、エネルギーブレードに回し高く飛び上がる。

 柄から伸びたエネルギーの集合体が剣のような形となり、黒い悪魔ブラックデビルを一閃。無傷の状態ならばまだ生きていたであろう黒い悪魔ブラックデビルも、傷ついた装甲を砕かれ、中の柔らかい部分を潰され、生命活動を停止。死んだのだ。

 ドラッケン01ゼロワンが地上に降り立つより少し早い段階で、銃撃戦も終わっていた。

 船団員とキャットマンたちの歓声が響き渡る。


「かなりのエネルギーを使ったが……倒しきれたか」

「しかし、これで終わりとは思えん」


 ノクトの危惧した通り、事態は進む。

 しかし幸運なことに、この島にさらに黒い悪魔ブラックデビルが降り立つことは無かった。

 エネルギーが回復する頃、第二陣がこの島へと降り立つ。

 数は五十。第一陣の二倍以上。


「チッ……エネルギーを使うのは最低限にすべきか……!」


 苦戦にはならないものの、第三陣がさらに早く来た時のことを考えるとあまりエネルギーを多く使うのは危険だ。

 いつ終わるとも分からない攻防戦。それはまだ続いていく。

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