前口上何度でもループバグ
ある日のこと、リィノとシャラは古の勇者が使用していたという伝説の鎧の情報を得た。
その鎧は入り口が封印された遺跡の中に保管されており、その封印を解く呪文は、人里離れた場所に建つ古塔に住む老人だけが知っており、鎧を託すべき勇者が来る日を待っているのだという。それを聞いたリィノ達は、さっそくその古塔へと向かった。
しかし、その情報を得ていたのは、リィノ達だけではなかった。それを知った魔族が、一体の刺客を老人の下へと送り込んでいた。
「な、なんじゃ貴様は!」
「ヘッヘッヘッ! 伝説の鎧なんて使われちゃ困るのよ。一人で呪文を抱えたまま、あの世に行ってもらうぜ!」
古塔の上階にて、襲来した黒い悪魔のような魔物と、老人は対峙していた。
「くらえっ!」
「ぬおお! まだ死ねん! 呪文を勇者に託すまでは!」
そして、黒い魔物は老人を亡き者にすべく、掌から炎の魔法を放つ。と、老人もまた、それに対抗して掌から炎の魔法を放つ。
そこでリィノとシャラ、両者が戦う古塔の上階に足を踏み入れる。
「な、なんだ!? 炎が!?」
そして、リィノ達の眼前で、両者が放った激しい炎がぶつかり合う――と、その瞬間、強大な魔力の衝突により凄まじい爆発が起こり、黒い魔物はそれに呑まれて蒸発。老人もまた、爆風を浴びて吹き飛ばされる。
激しく体を焼かれた老人は、力なく仰向けに地に倒れた。
「じいさ―――ん!」
それを見たリィノ達、慌てて老人の下へと駆け付ける。
「大丈夫かじいさん!?」
そして、リィノが老人のことを助け起こすと、老人、うつろな目でリィノの顔を見て、言った。
「おお、お主はカーク。懐かしいのぉ。しかし大きくなったものじゃ。前に会った時は、まだほんの子供だったというのに。時が経つのは早いものだな。カーク、勇者としてワシの前に現れる者は、お主だと、ワシは信じておった」
「ごめん俺リィノだけど!」
「……カーク、鎧のある遺跡の封印を解く呪文は……封印を解く呪文は……ううっ……」
「ちょっ! じいさん死ぬな! 息が絶える前に呪文を教えてくれ!」
弱々しく喋る老人に焦燥するリィノ。しかしその時、リィノ達の背後に、先ほど消滅したものと同種の黒い魔物が、テレポートでふいに現れた。
「はっ!? あぶないカーク!」
それに気付いた老人、とっさに起き上がり、リィノ達の盾となるように飛び出した。
「くらえっ!」
「やらせはせん!」
そして、黒い魔物と老人は、同時に掌から炎の魔法を放つ。と、二つの炎がぶつかった瞬間、凄まじい爆発が起こり、黒い魔物はそれに呑まれて蒸発。老人もまた、爆風を浴びて吹き飛ばされる。
激しく体を焼かれた老人は、力なく仰向けに地に倒れた。
「じいさ―――ん!」
それを見たリィノ達、慌てて老人の下へと駆け付ける。
「大丈夫かじいさん!?」
そして、リィノが老人のことを助け起こすと、老人、うつろな目でリィノの顔を見て、言った。
「おお、お主はカーク。懐かしいのぉ。しかし大きくなったものじゃ。前に会った時は、まだほんの子供だったというのに。時が経つのは早いものだな……」
「また話そこから!? いやじいさん、息絶える前に先に呪文を! 頼むから!」
弱々しく喋る老人に焦燥するリィノ。しかしその時、リィノ達の背後に、先ほど消滅したものと同種の黒い魔物が、テレポートでふいに現れた。
「はっ!? あぶないカーク!」
「まだ来る!?」
それに気付いた老人、とっさに起き上がり、リィノ達の盾となるように飛び出した。
「くらえっ!」
「やらせはせん!」
そして、黒い魔物と老人は、同時に掌から炎の魔法を放つ。と、二つの炎がぶつかった瞬間、凄まじい爆発が起こり、黒い魔物はそれに呑まれて蒸発。老人もまた、爆風を浴びて吹き飛ばされる。
激しく体を焼かれた老人は、力なく仰向けに地に倒れた。
「じいさ―――ん!」
それを見たリィノ達、慌てて老人の下へと駆け付ける。
「大丈夫かじいさん!?」
そして、リィノが老人のことを助け起こすと、老人、うつろな目でリィノの顔を見て、言った。
「おお、お主はカーク。懐かしいのぉ。しかし大きくなったものじゃ。前に会った時は、まだほんの子供だったというのに。時が経つのは早いものだな……」
「いや、だからなんで話そこからなんだよ!?」
「カーク、勇者としてワシの前に現れる者は、お主だと、ワシは信じておった。カーク、鎧のある遺跡の封印を解く呪文は……封印を解く呪文は……ううっ……ガクッ……」
老人は息絶えた。
「じいさ―――ん! いやだからなんで先に呪文を話してくれねえんだよ! 結構余裕あっただろ! 魔法三被弾しても体力残ってたろ! 前置き長く喋るから!」
リィノ達は、伝説の鎧の入手を諦めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます