炬燵

 これはDさんの祖母の家の話。


 Dさんの祖母が住むのは古くからある家で、所々住みやすいようにとリフォームはされていたが、昔の生活の跡が伺えるちぐはぐな家だったそうだ。

 特に、Dさんの印象に残っているのは居間の真ん中に残り続ける掘りごたつだという。

 と言っても、Dさんの生まれる前からもう使用してはいなかったらしく、掘りごたつの上に電気炬燵が乗せられているという状況だったらしい。

 Dさんの祖母の家は所謂豪雪地帯に位置していたから、Dさんが冬にスノーボードをしに祖母の家に泊まりに行くと、そのこたつはいつも使われていたそうだ。

 ある冬の事。Dさんがまた祖母の家を訪れた。祖母は畑を見に行くと言って外に出ていたので、Dさんは祖母の家に一人だった。

 古い家の冷たい床に耐えかねて、こたつの電源を入れると温まる前にこたつの中に足を突っ込む。

 掘りごたつの深い床に足を置き、しばらくすると膝の方から温まってきた。Dさんがこれで一安心だと思った瞬間だった。

 ぴたりと冷たい足が、Dさんの足に触れたという。

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