隙間

 これはCさんの叔父の話


 Cさんの叔父が暮らす家は片田舎にある古い一軒家だ。

 元々は農家を営む夫婦が住んでいたらしいが、Cさんの叔父は賃貸契約を結んで暮らしている。

 古い家であったから家賃も安く、「住めば都だよ」とはCさんの叔父の弁であった。

 そんな都ではあるが、時折おかしなことがあるのだという。庭にせりだした縁側の雨戸が泣くと言うのだ。

 初めて目撃したのは、住み始めて二ヶ月が経った頃。九月の月が綺麗な日だった。仕事から帰ったCさんの叔父が居間に歩いていくと、縁側の戸袋がしっとりと濡れていた。

 古い家だったので、戸袋の所だけ雨漏りでもしているのかと思って雨戸を引き出してみると、三枚目の雨戸の二点が涙でも流したかのように濡れていたのだった。

 また、ある日は風のない日中に、雨戸を閉め切っておくと、「ひぃぃ、ひぃぃ」とか細い声が聞こえるのだという。

 その事象をどうしているのか問えば、「別に泣くだけで何もないし、放っておいているよ」とCさんの叔父は答えた。

 

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