ぺらぺら1枚目

 これは曽祖父から聞いた話。

 

 その頃、年若かった曽祖父は不幸なことに盲腸で入院をしていた。

 手術も終わり、夜は鎮静剤で痛みもなく穏やかに眠っていたのだが、ふとある瞬間に目が覚めた。

 それは冬の夜のことで、布団を何枚かかぶっていた曽祖父は汗をかいていて、肌に浴衣がじっとりと貼りついていたという。

 何となく寝苦しくなった彼が、布団をはがそうとしたその瞬間。

 ぺらりと、布団から一枚紙のような薄いものが滑り落ちた。

 薄暗い室内でそれに目を凝らせば、平べったい看護師の姿だったという。

 だから、晩年曽祖父はがんの宣告を受けても入院をしなかったという。

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