16話 友達 ~柊弥、光輝~
俺の名は、
実際、高等部でも3人共、映像部に入ったけどな。まあ、例え違う部活入ろうとしても、
結局、赤羽根部長に一度目をつけられたら、逃げられないだろう。
彼女は、普段は面倒見の良いお姉さんキャラである。しかし、演劇へのスイッチが入ってしまうと、もう別人みたく変わる人でもある。
他の部員でも、うちの部には、そういう人が多いけどね。何故か…。
その上、高等部に入部したら、そういう人物が増殖しているかな?
部長の弟とか、映像関連の先輩だとか、脚本係の女子の先輩だとか。
実に部長好みの癖のある人物が、揃っていますね?中でも、部長の弟さん、本当に部長と血が繋がっているかと思うぐらい、性格違いますよね?
自分の事は、あまり友人達には話していないのだが、俺は跡継ぎ候補には為らないだけで、一応は大手企業の重役の息子である。父は社長ではないし、社長にはなれない立場だ。俺も三男なので、会社の継承権は持ってない。
それに大手企業の場合、息子だとしても跡継ぎになれるとは、限らないからな。
それでも一応は、社長とは同じ一族ではある。つまり、親戚である。結果的には上位のポストに就けるだろう。俺自身も、一族のグループ会社に就職すれば、ある程度のポストに就けるとは思う。だが、親族の会社には、あまり興味がないのだ。
成る可く自分の力で就職したいし、出来れば自分で会社を創りたい。だから出来るだけ周りには、親のことを知られたくないのだ。
部活では、よく『
相手役は主に決まっていて、俺と『晶麻』や『光輝』の3人のうち、誰かである。
但し、男装の『北岡』が登場する時は、7割方の確率で、九条の恋の相手となる。男装の北岡が出演する時は、俺達3人は、北岡のライバルか友人役となり、脇役となるのが常だ。また、残り3割が、北岡がその逆パターンで、俺達の友人役として脇役となるのだ。
普段の九条は、男性恐怖症に近いらしく、俺達男子とは滅多に話をしない。
自分からは、絶対に男子に近寄らない程なのだ。俺達から話し掛ければ、応答ぐらいはしてくれるが、それでも北岡が居ない状態では、無理そうである。
こんな状態で、俺達男子が相手役にして、九条にヒロインが務まるのかと、疑問に思うだろう。しかし、九条も役と割り切って、芝居の時はしっかり演じている。
ただ、やはりあまり男子に触れられたくないと言うので、そっと抱きしめる程度か、手を恋人繋ぎではなく普通につなぐ程度か、までが限度ではあるが…。
但し、例外として、男装の北岡の場合は、女子同士という事もあり、思いっきり抱き締めたり、恋人繋ぎしたり、挙句の果てには頬や額にキスまでしたりしている。何と、羨ましい限りだ。いや、別に九条にしたいとかではなく。男として、かな?
俺の好みは、和風美人系である。九条に初めて知った時は、好みのど真ん中ぐらいに思った程だった。男が苦手で怖がるところや、北岡相手に我が儘なところとか、徐々に知っていくうちに、惚れるまでいかなかったのだ。今は、唯の女友達という感じである。好み=好き、とは違うと気付いたからでもある。
逆に、北岡は外見とは違って、普段から男っぽく過ぎて、当初は超苦手だった。
今は、男子の中では、1番俺と仲が良い筈だ。(晶麻には悪いけどさ。)
本当は女子らしく振る舞えば、他の女子よりもずっと女らしいと、気付いたから。九条とは、何か約束しているらしく、男子っぽくしていると知った。
それからは、北岡が苦手ではなくなった。
女子とか男子とか特に気にしなければ、話やすくて話題も豊富である。
晶麻とも仲が良いけど、
俺と北岡が話していると、必ずと言っていいほど、無自覚に睨んでくるのだ。
自分では分かっていないようだから、質が悪いよな。俺は飽く迄、友人として接しているだけ、だからな!
晶麻には婚約者候補の幼馴染、光輝には親が決めた許婚が、それぞれ居る。
晶麻の方は、妹みたいに見ている存在だと言うし、光輝の方は、大事に思っているような存在だと言う。だけど、俺には許婚もいないし、そういう相手自体がいないので、よく分からない。本気で恋をしたことも、まだ一度もない。
学苑では、北岡が、男女共に1番モテている。男子が苦手だという割に、九条も、それなりに男子にモテている。だから、俺は、この2人を恋愛対象から外して見ている。沢山の外野を巻き込んでまで、恋愛したいと思っていない。
俺は、俺にとっての『ただ1人の恋人』に成り得る誰かを、根気よく探そうと思っている。
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僕は、
晶麻は、明るく活発タイプであり、一緒に居ると楽しいですね。柊弥は、先頭になって盛り上げるタイプで、僕達のムードメーカーとして退屈しません。
因みに、僕は、楽しいことは好きでも自分から率先しないタイプであり、
ただ最近、柊弥が、僕の婚約者のことで絡んでくることが多くなり、よく揶揄ってくるのです。僕も、揶揄われただけだと気付いているので、本気で怒ったりはしませんが。幾ら僕らが、君の事情をよく知っているからって、僕で遊ぶのは止めてほしいですね。
僕は、中小企業の会社社長の息子という立場で、既に成人した姉がいます。姉には婚約者がいて、嫁ぐことが決まっていますから、僕が跡を継ぐことになりますね。僕には、中等部に『
僕達は幼馴染でもあり、小さい頃からよく知っていて、僕は彼女が婚約者で、本当に良かったと思っています。
『礼奈』も同じく、そう思ってくれているようなのですが。今のところ、僕とは異なり、まだ兄のように慕っているだけのようなのです。
彼女は北岡のことが大好きで、彼女になりたいという訳ではなく、憧れから来る感情の好き、ということらしいです。僕は、取り敢えず恋愛感情ではないことに、実は心の底からホッとしました。僕にとって、彼女は、妹みたいな人と言うよりも、大事な人と言った方がしっくりくるのですから。
礼奈は、九条が北岡を何時も独占していると、思い込んでいるところがあり。
何かと、九条を敵視しているようです。
少し思い込みが激しいとは思います。でも、根は優しい純粋な子だと思っているんです。だから、僕も、彼女を放っておけないのでしょうね。
晶麻にも幼馴染がいて、婚約者候補の1人だと聞いています。まだ会ったことは、ありません。他のお嬢様学校に通っているようなので、接点ないですから。
晶麻は、妹みたいに思う存在と話していました。晶麻はそう思っていても、彼女の方は、どう思っているのでしょうね?それなりに仲が良いとは聞いていますが、相手が晶麻だけに少々心配ですね。
晶麻自身は、北岡に恋していて、誰が見てもよく分かる態度なんですよね…。
あれで、自分ではバレていないと思っているようですが。肝心の北岡にもバレバレだと思うのですが…。そういうところが、晶麻はちょっぴり残念ですね。
正直言って、僕は、少し前まで、北岡が少々苦手でした。何か理由があって、男っぽく振舞っているみたいですが。何を考えているのか、全く顔に出さないタイプだから、どう接したらいいのか、当初は分からなくて…。
中々、2人のようには話せなかったのです。でも、礼奈のお陰で、腹を割って話が出来た時は、性別を越えた友人が出来たようで、嬉しかったですね。
本当なら、1番モテるのは柊弥だと思うんですが。何故だか、北岡が1番人気で、次にモテるのが晶麻なんですね~。3位が、柊弥と言ったところでしょうか?
この学苑では、中性的な可愛い系の顔がモテるようですよ。
僕?僕がモテるかって?う~ん、よく分からないなあ。僕には、物心ついた頃から許婚がいて、元々他の女子には興味なかったので…。こう返答すると必ず、「リア充、爆発しろ!」と言われるけど、…何のことだろうか?
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