第7話 悪夢姫の名声
先の戦いの勝利に、グランディオソ王国の国民は祝福の声を上げた。商人たちの噂話により、このことは既に国民にも広まっていた。それもそのはず、彼らが倒した敵は強国の将軍・ファイアリヒ。商人たちも強襲に頭を抱えており、なおさら国民は英雄たちの帰還を喜び讃えた。このことは隣国各国にも伝播し"悪夢姫"の異名で讃えられた。
その夜のことだった。祝勝の宴が催される中、異例なことに悪夢姫はその席に招かれた。彼女の登場に将兵たちが取り囲み拍手を送っているが、本人はやはり浮かない顔をしていた。ざわついた空気が静まったのは暫くしてからで、国王が着くその座に隣り合わせる者に一同が目を見張ると、その先には緋色の礼服に身を包む男がいた。彼らが疑問に思うのも無理はなかった。何故ならブリランテ王はそう、枢機卿のことをよく思っていなかったからだ。この2人が懇意にしているのを目の当たりにした彼らは、間もなく嵐でも来るのではないかと思ったくらいだ。
「皆の者、よく聞くのだ。ここに居られるペザンテ猊下がグランディオゾ教会を挙げて支援下さることになった」
貴族諸侯たちがヒソヒソと耳打ちし合うこのカルマート・ペザンテという枢機卿は長らくグランディオゾ教会を牛耳ってきた男だ。一体何を支援するかといえば、国王によるところこうだ。
ひとつは教皇軍の派兵、ひとつは教会によるナイトメアの情報の提供であるという。
そして枢機卿は笑みを浮かべて口を開いた。
「国王がお困りと聞いたので力添えすることにしました。皆さんに神の御加護を…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます