新たな悪夢

第1話 少女の日記-2

目の前で騎士の人たちが戦ってた。私のことを庇って逃がしてくれた。でも、何人かは私の前で倒れた。

『許さない…』

『お前のせいだ…なんで俺が…』

って言われた。騎士のみんなは涙ながらに私に訴えていた。

『ごめんなさい…ごめんなさい…』

謝っても聞こえるはずないのに私は謝った。声にならない声で謝り続けた。でも、なんで…私は連れて来られただけなのに!来たくて来たわけじゃないのに!剣も弓も持ってないのに何をしろというの?私の力はそんなに偉大なものなの?戦争をするために使われるならこんな力なんて無い方がいいわ!泣きたいのは私よ!何もしてないのに騎士団に連れて来られて、怒鳴られて、私のことを恨みながら死んでいく騎士を前に、私は一体どういたら・・・いいの・・・


そうか・・・それならいっそのこと、私が死んでしまえばいいんだ・・・。なんだか可笑しくなってきたわね・・・。そうよ、私さえ死んでしまえばいいのよ。明日、王座の間に召喚されれば、私は処刑されるかもしれない。上手いこと死ねたらいいのよ・・・



王都グランディオソ___王座の間


 国王と皇太子の口論は激化している。特に皇太子は貴族の中で短気な性格として有名である。王座の間にいる貴族諸侯や使用人らの表情は困り果てたものとなっていた。誰もが親子喧嘩をただ静観するほかなかった。そうしているうちに国王は『話にならん!』と言い席を立とうとした、その時だった。皇太子の手が腰元の剣にかかったのだ。それと同時に少女は国王のもとへ駆けた。誰もがハッとして声を上げたり、顔を覆ったり、神に祈り始めた。全員が少女の死を悟ったその時、王座の間に鉄の弾き合う音が響いた。一瞬のことに少女と国王、皇太子はそれぞれ声を上げた。幾秒かの静寂の後、皇太子は近衛兵により取り押さえられた。

「息子を・・・いや、罪人フリオーソを投獄せよ。・・・」

フリオーソは国王に対する罵詈雑言を吐き捨てながら王座の間から引きずり出された。ここで剣を抜くことは禁じられている上に、国王への殺傷を企てることなどもってのほかである。

少女はその場で崩れ落ちた。少年はすぐに剣を仕舞い国王に跪いて言った。

「私は国法を破り剣を抜きました。罰をお与えください。」

トゥーティは固唾を飲んだ。彼の父から預かった大事な子息をここで失うことを懸念をした。国王は少し考えてから答えた。

「若き騎士よ、名は何という?」

そう言うと片膝を着いて少年の肩に手をかけた。

「アタッカ・フォールテ…でございます・・・」

名前を聞いた国王は『そうか・・・』と言い、満足そうな笑顔を浮かべた。

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