第59話 メインルート終了
ほぼ予想通りの場所に人影が出現した。
スマホの地図が自動更新され、通路が一気に描き込まれる。
進み具合はこちらとほぼ同じ程度のようだ。
「それでは続けて入ります」
「こちらもです。また1時間後宜しくお願いします」
再び
「中へ入るとほっとするな、涼しくて」
確かにそうだなと俺も思う。
「それではまた隊列を変更して11番へ戻りますよ」
今までと同じ探索が始まる。
何回か出口や分岐を過ぎて交代して、2年生2人が先頭に立っている時だった。
「大ボス」
そう言って川口先輩が立ち止まる。
「鬼ですねこれは。そこそこ大きいです」
先生が言うところによると相手は鬼だそうだ。
昨日退治したアレと同じタイプだろうか。
「これは相性的に正利と愛梨に退治して貰おう。愛梨は邪視で足止め、正利はエナジードレイン全力だ。いいですね、先生」
「そうですね。このくらいの敵を倒すのにも慣れておくと楽でしょう」
おいおい。
でもそう思いつつも少し自信はあったりする。
何せ昨日倒しているのだ。
「それじゃ私が鬼を誘導しよう。何時でも術を出せる体勢で待機、出たら指示を待たずに打ち込めよ」
そう言って大和先輩が前を見る。
巨大な気配が動き始めた。
左側にある分岐から、そして正面へ。
『エナジードレイン!』
全力だ。
今度の鬼は昨日のよりやや大きい。
でも愛梨が足止めしてくれているからこっちに攻撃が来ない。
だから全力で奴の体力や魔力を奪う。
まだか、まだか……
実際には1~2秒だと思うが結構時間がかかった気がした。
鬼の姿がさらさら崩れて、崩れたものも消えて行く。
「やっぱり実態がある生物的な魔物には効果的だよな、この攻撃」
「これで使用回数に制限が無いというのはうらやましいですわ」
先輩達はそう言うけれど、何気に結構気が気ではなかった。
通用しているかどうか不安で。
この辺も経験を積めば少しは自信が持てるのだろうか。
このくらいなら大丈夫という感じに。
翠先輩が番号杭を打ち込む。
「あのクラスの大ボスを倒した以上は残りはそう無いと思いますわ」
「そうですね。放っておかれた時間とここの規模からして、残りはそう長くないでしょう。
「大ボスが出ても小松がぶった切っているだろうしな。見えている限り属性無視で倒すからな、あいつは」
「その代わりそれ以外の能力が一切ないですけれどね」
「あそこの2年2人は特殊」
「本質的には魔力無い一般人だからな、2人とも。どっちも攻撃力だけは並みの能力者以上だけれどさ」
そんな事を話しながら今度は桜さん達先頭で探索開始。
先輩達の言う通り、残りは小怪異を倒しつつ1周ほど先頭が交代したところで行き止まりになった。
ちょうど出入口も開いているようだ。
「あと5分で連絡時間ですのでここで小休止しましょう。この後ご飯を食べて、残った脇道を調べていく形で」
「ちょうどいい大きさの
なるほど、6時間以内に終わるように最初から考えている訳か。
取り敢えず時間まで
ほぼ同時に
思ったより遠く、霊園の反対側の端に近い場所だ。
通信の結果、地図がまた更新される。
「ちょうどいいのでこの辺でお昼ご飯にしませんか」
「そうですね」
という事で暑い中を歩く。
「お昼は霊園事務所の方で用意してくれているそうです」
なら車の中とか暑い外で食べなくてもいいな。
でもたった300メートル位なのに歩いていると暑い。
もう少しだ、もう少しと思いながら歩き、やっと管理事務所の建物に到着。
管理事務所の建物そのものはかなり立派な建物だったようだ。
だったようだというのは内部がどうも……という感じだから。
元々は式場にもなる建物だったようだが、何せ一度倒産している。
市営となった今は事務所部分しか使っていないらしい。
だから使っている部屋は事務所部分とトイレ、会議室風の小部屋2部屋だけで広いホール部分もがらんとしている。
もう少し荒れていれば廃墟だなという感じ。
「市営で整備するようになっただけましなんだろうな」
「でも何か勿体ないよね」
なんて話しながら会議室へ。
弁当は市販品としてはちょい量が多めの幕の内風弁当だった。
でも有明透子はやっぱり余分なおかずをタッパー3つ持ち込んでいる。
そして今回は桜さんまでタッパー1つを持ち込んでいた。
「やっぱり普通のお弁当では少し足りないですよね」
「そうそう。一応普通のお弁当よりご飯なんかも多いけれど、やっぱりもう少し欲しくなるね」
なお
「私も作った方がいいかな。確かに微妙に少ない気もするし。ダーリンももってきたら食べるよね」
「俺はいい」
遠慮じゃ無く本当にこの弁当で充分だ。
何ならもっと少なめの弁当でも充分だけれども。
この業界の皆さんは大食いが標準なのだろうか。
「
「こちらはラスボス手前という処ですね。ただ枝道が少ないので、この後は早いと思います」
なるほど。
ラスボスという表現は先生方でも使うのか。
「ちょうどいいから1時まで休憩しましょう。午後もこのペースなら連絡2回目位で終わるでしょうから」
そんな訳で食べ終わった後、スマホで今までの地図を見てみる。
何回か地上に出ているので地上と
墓地の中央裏側から初めて両側の端へ向かって進んでいるような状態だ。
俺達の方はほぼ霊園の端、合同供養地区にほぼ到達。
確かにほぼ霊園の端と端まで到達した感じだなと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます