第58話 |迷宮《ダンジョン》探索中
小怪異はかなり出てきている。
ほとんどはカエルもどきの奴だ。
先頭2人が歩きながら瞬殺しているからここまで来ないけれど。
ただ今までの
下が割と凸凹していたり天井が所々低かったり通路が微妙に曲がっていたり通路の太さが変わっていたり。
「自然に出来た
「そうですね。昨日の八●霊園なんかは管理しやすいように人の手を入れていますから。ただここもある程度時間が経てばもう少し歩きやすい
そんな事を言いながら歩いて5分くらいで先頭が立ち止まる。
「分岐ですわ」
そう言って翠先輩が番号杭を取りだして打ち込む。
通路が左右にYの字に分岐している。
左右通路の太さはほぼ同じ位だ。
「左右の太さが同じ程度の場合はは右側を取り敢えずメイン扱いします」
なるほど、そういう取り決めがあるのか。
「それではまた」
左へ向かう
「それでは隊列を変更します。次の分岐か出口までは先頭が有明さんと高津さん、次が大和さんと川口さん、次が大和さんと川口さんで。
本日の作業は清掃も兼ねています。ですから先頭の方は出てくる小怪異は全部潰して下さい。魔法でも直接攻撃でも構いません。それなりに強い怪異が出た場合は全員体制で。それではお願いします」
まずは桜さんと有明透子が先頭になる。
この2人が先頭の場合は桜さんが1歩ほど先に歩く感じ。
桜さんが自由に動けるように少し場所を空けている訳だ。
そして桜さんは最初から直接攻撃メイン。
相変わらず数歩ごとに出てくるカエルの怪異を蹴る、斬るを繰り返す感じで倒して進んでいく。
有明透子は桜さんの見落としや視界外の怪異を叩く役目のようだが、今のところただ見ているだけ状態だ。
そのまま歩く事数分。
「分岐です」
「ここは左の通路が太いね」
桜さん達は後から2番目に下がり、大和先輩達が先頭で俺と愛梨が2番目に。
「以降は3組でローテーションで先頭担当をして貰います。怪異が多いので交代で行きましょう」
2年生2人の組み合わせだと桜さん達2人と同じような体勢になる。
川口先輩が1歩先で大和先輩が後という形。
基本的に川口先輩のナイフで倒していくという状態だ。
「基本は直接攻撃なんですね」
「魔法は回数制限があるからな。こういった先がわからない場所は直接攻撃メインで適宜回復魔法を使うのが一番効率がいい」
なるほど。
そう思った処で先頭の川口先輩が止まった。
「中ボス」
確かに今までより強めの気配がしている。
「大カエルか。なら『
おっ。
随分簡単に倒れたな。
再び隊列は進み始める。
「それにしても今の怪異、結構あっさり倒れましたね」
「湿気ている系統は電気系の魔法に弱い。ここはそんなのが多いようだしな」
「RPGの基本」
おいおい川口先輩ゲームと同じかよ。
そう思ったがきっとゲームの方が現実を真似ているのだろう。
でもゲーム制作者はこんな経験をしているのだろうか。
そんな事を思っているとまた列が止まる。
「出入口」
確かに空間がちらちら乱れている場所がある。
「それじゃ大和さん、スマホは大丈夫ですね」
「ええ、では行ってきます」
出口確認に行った模様だ。
どれどれ。スマホを取りだして画面を見てみる。
勿論今まで通ってきた部分がだけだ。
分岐2箇所でそれぞれ2番3番と番号が振ってある。
今止まっている場所は4番だ。
入口から進んだ距離は350メートル。
思ったより進んでいない。
でも歩きにくいしそんなものか。
そうだ。
「愛梨、次は俺達が先頭だけれどさ。基本俺のエナジードレインで倒して愛梨が補助でいいか。俺のエナジードレインは何度使っても平気だしさ」
「じゃあダーリンにお願いしようかな。私の魔法は回数使えないみたいだし、邪視で倒すのも限度があるから」
「わかった」
大和先輩が戻ってきた。
「お盆明けだからか人はほとんどいない。だから楽でいいけれど暑くてたまらん。GPSで現在位置が出るまでに汗をかきそうだ」
なるほど。
「それじゃ行きます」
宣言してゆっくり歩き始める。
そこら中に小さいカエルの怪異がいる。
この辺は湿気ているのかな。
この中はどうも普通の世界と微妙に違うらしいからよくわからないけれど。
たまにお馴染みヘビの怪異やコウモリの怪異もいる。
どれもエナジードレイン一発で消えるけれど。
特に何も無いまま次の分岐へ到着。
「5番を打ちますわ」
番号杭を翠先輩が打ち込む。
◇◇◇
「次、11番が出口で無かったら一度4番まで戻ります。あと10分で同期時間ですから、少し余裕を持って戻りますね」
もうそんな時間か。
もちろん気がするだけで実際に時間の流れが早い訳じゃないだろうけれど。
相変わらずカエルの怪異が主だ。
強力な敵もあの大カエル以上はまだ出てきていない。
分岐も最初の分岐以外は基本的に細いものばかりだ。
それでも未知の
帰ったら明日からはちゃんと勉強するぞ。
そう言い訳を自分にしながら少しだけ歩きやすくなった通路を行く。
そして。
「残念、分岐です」
11番は分岐だった。
今までと同様の明らかに片方が小さく狭いタイプの分岐だ。
翠先輩が番号杭を打ち込む。
「それじゃ戻りましょうか。一応隊列を変更しましょう」
そんな訳で2年生2人が先頭へ。
流石にさっき怪異を退治したからか通路には何も出ない。
「戻るのは結構あっという間だよね」
「距離そのものは短いからな」
「でも1時間でこの程度って少し悲しいです」
「昔はもっとかかったそうですわ。方向や距離を測定しながら進んだそうですから」
そんな事を話しながらあっさり4番へ。
「見える範囲には誰もいないようですし、一度全員で外に出ましょう」
先生の意見で外へ。
眩しい、そして暖かいと感じる。
常に涼しいし真っ暗だし。
だんだん暖かいが暑いになってきた。
早く
スマホ画面を見てみる。
今の場所は入口から水平距離268メートル。
とすれば
方向的にあの辺かな。
分岐で別れた場所から見当をつけて見てみる。
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