第43話 昼食と今後の計画
「ただいま」
先生が帰ってきた。
例の見かけより入って重くならないディパックを背負っている。
「お昼は簡単に、かつ少しは現地のものを食べてみましょう。そういう事で今日はサンドイッチが中心です」
ディパックの中からテーブルの上に色々出しまくる。
まず出てきたのは台詞の通りサンドイッチだ。
サンドイッチと言っても食パンを切った奴では無く、フランスパンに挟んだ形式。
そして中身はソーセージやポーク缶、フライドポテト。
ジャンクというか栄養バランスを一切考えていないようなものばかりだ。
有明透子辺りには向いているかもしれない。
次に出てきたのはテイクアウト用の深い紙皿に入った何か人数分。
一見サラダっぽい。
でもよく見ると野菜も多いがマグロっぽい赤身の刺身も大量に入っている。
「この辺はフランス領なのでサンドイッチはフランスパンですね。だいたいこのサイズで1個200円程度です。中身がお肉ばかりなのはこの辺りの島の人の好みですね。売っているサンドイッチの多くがこんな感じです。
あとこのサラダっぽいのはポワソンクリュと言って、マグロをマリネしたものにココナッツミルクを和えたサラダです。これは1人1皿ずつ。
あとはこれ、見た通り牛肉と鶏肉の炭火焼き。こっちはバナナフランベ。甘い物も少しは欲しいだろうと思って」
そう言えば先生もこいつらと同じ位食べるんだった。
テーブルの上は山盛り状態。
「いただきます」
大食いの皆さんを横目に俺はサンドイッチ1つとサラダ風風1皿をのんびり頂く。
サラダにかかっているココナッツミルクは甘くなくコクがありクリームに近い。
なかなか美味しいなこれは。
サンドイッチの方はまあ、カロリーの化物。
いわゆるランチョンミート風の肉とポテトが入ってバーベキューソースとマヨネーズが入った代物だ。
本当にこんなサンドイッチがスタンダードなのだろうか。
先生の行く店がたまたまそういう店だというだけではないのだろうか。
でもまあ美味しい事は美味しいのでいただく。
このサンドイッチだけでも量が充分だ。
サラダもどきもあるし、俺は炭火焼肉にソースがかかったものまで手が出ない。
でも他の皆さんはそうでもないようだ。
有明透子はまあ自己申告で肉食大喰系なのは知っているが、他の皆さんも凄い。
愛梨はチキン1枚とバナナフランベをいただいているし、桜さんはサンドイッチ2個目だったりする。
あの身体の何処に入っているのだろうか。
先輩達も先生もまあ似たようなものだ。
エンゲル係数が高そうだなあと思いつつ見てしまう。
あ、一つ聞こうと思っていた事を思い出した。
「これを買ってきたのは何処なんですか」
「パペーテですよ。この辺では一番大きな街なので。この辺と言っても500キロ位は離れていますけれどね」
そう言われてもパペーテが何処だかわからない。
「フレンチポリネシアだ。もっとわかる言い方で言うとタヒチ島だな」
大和先輩に言われてやっと理解した。
地図で見るとオーストラリアの右上の方の島々の何処かだな。
「さて、お昼の活動の前に聞きますけれど、皆さんちょっと装備を揃えたいと思いませんか。実は8月のお盆の後、ちょっとだけ学校未公認ながらお勧めできるアルバイトがあるのですけれど」
お、これはさっき大和先輩に聞いた奴だな。
「どんな内容でしょうか? 撫子先輩にお掃除があるという話はさっき聞いたんですけれど」
「その件ですね。今年は8月17日土曜日と18日日曜日にお願いする予定ですけれど、皆さん大丈夫でしょうか。2年生は1人1日5万円で、1年生は1人1日3万円、資格の分2年生の方が高くなっています。現場までは私が送る予定です」
2日で6万円か。
研究会の正規の活動として顧問の先生から来た話なら仕方無いよな。
俺はそう自分を正当化する。
いや、本当は勉強をしたいんだけれどさ。
でも2日位はいいよな。
装備を買っても参考書や問題集が更に買えるし。
「私は大丈夫だけれどダーリンは?」
「特に予定は無い」
「私は大丈夫です」
「同じく」
「問題ない」
「元々そのつもりだったし」
全員参加の模様だ。
「それでは後で要項を印刷してお配りします。まあこの合宿が終わって学校に帰った時でいいですね。だいたい9時学校集合、10時作業開始、適宜昼食を食べて午後3時に終了、4時に学校解散という予定です。装備は今回の試験で使った装備で大丈夫です。2年生の方はお任せします。仕事内容は土曜日が1年生が見回りと小怪異の討伐。2年生が新規発見通路の調査及び討伐です。日曜の方は後程」
俺達は要は試験と同じような事をやればいいのかな。
でも新規発見通路というのは何だろう。
「神社とかお寺、霊園等は様々な人の祈りの力が干渉した結果、色々な通路が出来てしまう事があるんです。いわゆる
「そして地図に無い新しい通路等が発見された場合、その中を調べて怪異等の溜まり場になっていないか、危険な場所に繋がっていないかを確認するのが私や香織の仕事という訳だ。場合によっては通路を封印したり、案内板を置いたり、地図を書き直したりする。その辺の技能が必要だから2級以上という事になっている訳だ」
なるほど。
先生と大和先輩の説明で何となくわかった。
「さて、それじゃ片付けて昼の部と行こうか。正利の魔法がどれくらいのものか、確認しないとならないからな」
あれだけあった食料がきれいさっぱり片付いている。
ごちそうさまを唱和して片付け開始だ。
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