第39話 買い物ハイ

 ポチポチっと操作して調理場用に部屋を設置、レイアウト変更でレンガの壁に変更。

 って、さも私が独断でやっている様な感じだけど、権限が無いのでナオさんの了承は得ている訳です。

 まあ、適当な感じに好きにして良いニャー程度の返事で操作出来ちゃう辺り、認証システム白銀はガバガバな気がしてならないんだけど。


「さてと、調理場に流し台を付けるべきか……」

 いや、調理をするのに水が必要なのは重々承知なんですよ。

 でもね、これがびっくりなぐらいコストが掛かるのよ。

 池とかはオブジェクト設置で50ポイントで済むというのに、台所に流し台を付けるには、先ず水源として500Pから必要で、水道諸々として100P必要になるという。

 水源の水は川の水と違ってちゃんと飲める水で、その設置した水源から水を謎の技術で引くからDPダンジョンポイントが沢山掛かるらしいんだけど。


 とは言え、ダンジョン内で水が汲めるのは嬉しいのよね。

 それに今は二階だけど、階層を増やすとこの階はどんどん下層になる訳だし、ダンジョン外まで水を汲みに行っていられないからね。


 うん。必要経費。何れは必要になる物だもの。

 ちょっと収支のバランスが合ってない気もしないでもないけど。


 という事で、えいやっと半分ぐらい目を瞑ってボタンをポチポチDPで水源と流し台を購入する。

 ちゃんとフレイヤさんに確認して、使い勝手の良さそうなのを選んだんだけどね。


 水源は小さな泉を二階の一番最初の部屋に設置してみました。

 湧き出てるのに流れて行かない不思議な泉なのよね。

 小さくコポコポ音を立てているから、ちょっと癒される感じがするわ。


 流し台は洗い場と調理台がセットになってる奴。それ程大きくはないけど、部屋の壁とかに合わせた感じのを選んでみました。

 本当はこれに魔石焜炉とかいうのをくっ付けたかったんだけど……。うん、ここまでDP使っちゃったんなら魔石焜炉も購入しちゃえ!


 ふう……。水源と流し台と魔石焜炉で合わせて700Pも使っちゃったわ。

 その前に調味料とか食材も諸々購入していたから、現在285P。ついでだから窯用にレンガと左官セットを購入して30P。

 暫くは大人しくしていないと何も出来なくなりそうね。


 そんな感じで、先立つ物も無いし、ダンジョン外に行ってもする事も無いから、フレイヤさんを手伝ってパン窯を作ったりとかしていたら一日が終わった訳です。

 決して邪魔をしたりなんかしていないわ。

 窯は土台部分を作った辺りで夕方になっちゃったので、続きはまた明日以降にするみたい。美味しいパンが食べれるのはまだ暫く掛かりそう。




「さて、本日はナオさんの番です」

 こちらをお願いします。と白銀のプレートを差し出したら、ナオさんはまた鼻筋に皺を寄せた。

 その顔可愛くない所が可愛いだけだから。


「えいなのニャー」

 タシーンと振り下ろした前肢がスタートボタンを押すと、軽快なドラムロールが流れる。

 プレートから打ち上がった花火は残念ながら大きく上がる事は無かったけれど、何となく色数が多い気がする。


「あら?」

 当たりなの? どうなの?

 ナオさんい同意を求め様としたけど、ボタンを押したら興味が無くなったのか、毛繕いに夢中になっている。


「いわゆるレアという奴ですね」

 一緒に覗き込んでいた白銀がそう教えてくれた。


 花火の煙の消えた後には、また透明な玉が一つ。


「スキルオーブみたいね。【鑑定】っと」

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『【木工】のスキルオーブ

使用すると【木工】を覚える

煮ても焼いても食べられない 砕くとスキルも消失してしまう

落としても簡単に割れないが 衝撃には弱め』

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