第38話 生活環境を整える事は贅沢ではない
ナオさんに駄目出しをされて喜んでいたら、フレイヤさんが朝食の準備が出来ましたと呼びに来てくれた。
今朝は昨日よりも準備に掛けられる時間が有ったから、フライパンで作れるふわふわのパンが有った。
喜んで食事の乗っている卓袱台前に座れば、隣にやって来たナオさんの前にも朝食が並べられている。
「ナオ様用の猫缶が昨日の分で無くなりましたので、追加で購入するべきかお尋ねしましたら、皆と同じ物を食べるとおっしゃられましたので、ご用意させていただきました」
何で? という顔をしてナオさんとフレイヤさんをそれぞれ見たからか、フレイヤさんが説明してくれた。
そう言えば猫缶は十個入りで、最初の日は夜だけ、後は朝昼晩と一個ずつ食べていたんだものね。
「ナオさんはもう何でも食べれるニャー」
ふんすっと鼻息も荒くナオさんが宣言する。
やれ塩分がとか食べれない素材がとか言って、食べれない様に防いでいたのがお気に召さなかったらしい。
美味しいか美味しくないかとかは二の次の様です。
まあ、何回か食べれば満足するでしょう。
柔らかいパンと、野菜スープと、ベーコンエッグと、カフェオレ。それから外で山査子の実を摘んできて赤色の綺麗なゼリーをデザートに。足りない食材を購入するのにちょっと使ったとの事だけど、フレイヤさんは居るだけで毎日500
というか、使ったといっても食料品とか皆の物な訳だし。
「今日も、まだ多分外の魔物は復活していないわよね。引き続き階層を増やしたりとかするほどDPに余裕が有る訳でも無いから、何をして過ごそうかな」
何でも食べれる様になったとはいえ、基本的には猫なナオさんだから、食事は食器から直接という事になる。
なので、横からパンを食べやすい大きさに千切って上げたり、ベーコンを食べやすい大きさに切って上げたりする。
「それでしたら、私はこの二階で窯を作ったりしてもよろしいでしょうか? 多少DPを使う事になってしまうので申し訳ないのですが」
窯があればパンも焼けるしピザも焼けるのですと、フレイヤさんは主張する。
「それならいっそ、二階に調理場用の部屋を作って、そこに色々用意するようにしてみる?」
岩肌が剥き出しの広場みたいな部屋の片隅に窯を作るというのも、何か違う気がするし。
決してピザが良い物だからでは無いですよ。
いや、ピザは良い物なんだけどね。
「いえ、そこまでしていただく程では……」
うちの台所事情はバレている訳で。フレイヤさんは断ろうとしてくる。
「でもね、今後の事を考えると、部屋単位で纏めておいた方が、後々自由が利きそうなのよね」
一つの部屋に何でも纏めてしまうのは、後で別の事をしようと思った時に邪魔になったりしそうであるし。
「と言う訳で、こんなのはどうでしょうか?」
白銀のプレートを使って疑似的に、二階に一部屋増設して、レイアウト変更でレンガの壁にしてみる。
窯とかあれもこれもと設置してしまいたかったけど、思い付きで作れてしまう様な値段でも無かったし。
水回りだけはちゃんとしている方が楽だと思うけれど、それも使用する人の意見を聞いてからの方が良さそうだし。
「良ければこのまま決定しちゃっても良いかな?」
悩んでいる相手にはぐいぐい押しますよ。
何と言ってもピザは良い物ですからね。窯の設置まで漕ぎ付けなければ。
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