第37話 唸れ私の両腕
とまあそんな感じで四日目も無事に終わったと言うか。
夕飯は羊の魔物の肉を使ってジンギスカン……と行きたい所だったけど、専用の鍋を買う程
フレイヤさんは時間と材料さえ有ればタレも手作りするのにと悔しがっていたけど、買ったタレも十分美味しいわ。ちょっと日本で売っていたのに似ている様で微妙に違う、パチ物臭さが漂っているけど。
夕飯を食べて、自分とナオさんに浄化を掛ける。
綺麗にはなってるんだけど、湯船に浸かりたい。DPに余裕が出来たら温泉とか大浴場的な物も作ろうかしら。
ダンジョン運営日誌には、外の魔物の数が少ないと苦情を書いておいた。うちは私とナオさんと二人居るから生活するのにDPを倍使う訳だし、もうちょっと数が居ても良いと思うのよね。魔物=DPとしか見れなくなってるのもちょっと酷い話なんだけどね。
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『美咲ちゃんへ
ナオさんだけじゃなくて、美咲ちゃんも引きが強いんだね。
Aランクのネームドモンスターなんて0.05%ぐらいの確立だよ。
でもごめんね。DPの自然増加分についてはランク相当を付与すると、ダンジョン運営のバランスが崩れちゃうから、自ダンジョンのランクから二つ上までの計算になります。
文句は過去にそれで大暴れした君と同郷の人に言ってね。』
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日誌の返事欄にはこんな事が書かれていた。
まあ自然増加分は余禄みたいな物だから、それ程当てにしてなかったんだけど。白銀に確認して貰ったらフレイヤさん分だけでも500
でも本来ならAランクだから12,500P入るんだって。
確かにそれだけ入るとなると、外で地道に魔物を狩ったりとか、部屋を作るのにあらかじめ掘っておいて固定分だけDPを使うとか、そういう事をしなくなるわよね。
魔素の循環の為にダンジョン運営をとか言っている割には、ちょこちょこ楽をさせたくないんじゃないかと思える発言が有るから、何時か締め上げて問い質さなければ。
それはそうと、何時発動するのか、どうやれば発動するのかさっぱり分からない、私の【撫でる】スキルをナオさんの為に使うべく、手早く身支度を済ませたら、まだ眠そうにお布団の上でゴロゴロしているナオさんの横に膝を付く。
今日の私は一日撫でて過ごすぐらいのつもりで居ますからね!
背中側の毛は艶々で、ちょっと張りのある毛質で。
お腹側の毛はふわふわの柔らかい毛質。
薄い耳の毛は細かくて柔らかくて、指で耳を挟んで軽くマッサージする様に撫でる。耳を撫でると指に耳の匂いが付くから、撫でた後にナオさんが匂いを嗅ぎに来るのよね。
ああ、可愛い。これはご褒美でしかないわ。
ナオさん可愛いね、美人だねと囁きながら、顎の下もこちょこちょと擽る様に触る。
出来ればナオさんの守りになる様な、素敵なスキルが付くと良いなと思いながら、頭から尻尾の先まで丁寧に撫でる。
ぽわぽわぽわっと割と明るめに光ったら、ナオさんが鼻筋に皺を寄せながら、顔を上げてこちらを見た。
「ナオさんは【完璧な毛皮】を手に入れたって出たニャー」
毛皮が艶々ふわふわになったニャ。と言いながら、自分の肩口を舐めて毛繕いをする。
「でも失格ニャー! ナオさんは強くなりたかったニャー! 美咲は明日もナオさんを撫でるニャー!」
おぉぉ、この手触り天国か! とナオさんの話を碌に聞きもせずに撫でまくっていたら、失格ニャーと怒ったナオさんに顔を押し退けられてしまった。
このプニプニの肉球もご褒美ですからね!
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