第34話 殺意の少ないダンジョン
召喚した鱒は三十センチ越えの中々ぷりぷりと肥えていました。一回の召喚で100
「あら、普通に食材で購入するよりお得ですね」
池を覗き込みながらフレイヤさんがそう言ったんだけど、確かに魚を食材として
そのまま池で飼っていれば繁殖するらしいけど、果たしてそんなに長期間残っているのかしら?
それよりも、鱒って池で生息出来るの? そこら辺はダンジョンだからざぶざぶで良いの?
兎も角も、ナオさんとかコボルト達が口の周りを涎で湿らせながら池を覗き込んでいるから、お魚さん達の寿命もそれ程長くなさそうな気がするわ。
ちょくちょく様子を見て補充が必要かもしれないわね。
「ああ、池が在るなら畑も欲しいですねえ」
葉物野菜とか、ちょっとした物があると便利ですよね。とフレイヤさんが言うので、そんな余剰分が有るのかは不明だけど、農機具セットと野菜の種セットをついつい交換してしまったわ……。
だって、お肉とか根菜ばっかりの食生活よりも新鮮なサラダが食べたいもの。人は贅沢に慣れるのも早ければ、堕落するのも早いものなの……。
「え? 蜜を集める用のお花畑も欲しいの?」
花蜜豆が寄って来て、袖を引っ張るから何かと思ったら、畑を作るならお花畑もだって。
まあ、集めた蜂蜜はお裾分けしてもらう予定だし、種類を選べば手入れも要らないから、種を購入するだけだし別に良いかな。
クローバーとかレンゲが育てやすくて良いかしら? ついでにレモンバームなんかもハーブとしても使えるわね。
ハーブは繁殖力が強くてどんどん増えるし、料理にも使えるし色々お得なのよ……。と誰に対してなのか分からない言い訳をしながら、クローバーの種とレンゲの種の大袋(肥料袋ぐらいの量が有ったわ)と、ハーブの種のセットを交換してしまった。
それぞれ50P掛かったけど、多分大丈夫。
クローバーの種とレンゲの種はコボルト達に渡して、ホーソーンビー達の希望する場所に蒔いて来て貰う事にする。大きな袋を抱えて歩いている姿がちょっと可愛いわ。
ハーブの種は畑の近くに蒔こうかな。雑草と混じるとどれがどれだか分からなくなるから、野菜畑と同じ様に雑草を抜いて土を起こして畑にしてからにした方が良いのかしら。と悩んでいたら、フレイヤさんがお任せ下さいと言って、ささっと種や農機具を回収して行った。
「しかし、あれよね。池が在って、食べれる魚がいて、畑も在ってってなると、いっそここで軽く食事でも出してキャンプ出来るようにしちゃえば良い様な気がして来るわね」
何と言っても冒険者がダンジョン内に滞在すると、魔素を吸収してDPが増えるのである。
増えたDPを上手い事回せば、食材の購入も出来るし、何なら食事を出すのにお金を取れば、そのお金で食材を購入する事だって出来る。
「あら、よろしいですねえ」
フレイヤさんも乗り気の様だ。
でもフレイヤさんにここに付きっ切りになって貰うと、私の生活が困る事になるから、料理の出来るダンジョンモンスターを召喚するか、コボルト達みたいに二足歩行する子を料理が出来るように教育するか、いっそ街から人を雇うか屋台の出店を求めたって良いと思うのよね。
「最初から目標地点を目指さずに、スタート地点を何とかすれば良いんですよ」
ああでもないこうでもないと、手持ちの限られたDPで何とかしようと考える私に、フレイヤさんがそう言って諭してくれる。
「最初は、スープとパンの提供だけでも良いと思いますよ。スープもパンも私が纏めて作る分にはそれ程負担にもなりませんし。魚は有料で釣り竿の貸し出しなどするようにして、釣って来た魚は自分で串に刺して焼いて貰えば良いのですわ」
それで儲けが出て来れば、人を雇ったりして行けば良いのだと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます