第31話 そろそろ当初の目的を思い出そう

 やるぞ~と気合を入れたのに、私とナオさんと合わせて六十一匹倒した所で打ち止めになりました。

 空回りしたやる気の持って行き場について。


 その前にDPダンジョンポイントに変換してしまおう。

 の更に前に、フレイヤさんに食材になるかどうか確認して貰わなければ。


「そうですね、次までの事を考えると、四体分程頂きたいです」

 どどどんと積み上げていく端から、フレイヤさんはこれとこれとと言いながら、お眼鏡に適った物を抜き取っていく。

 ダンジョン周辺の魔物のリポップが同じ種族なのかどうかも分からないから、ある程度の余裕を取りたいとの事です。

 決して私が大食らいな訳じゃないよ。


 フレイヤさんが選んだのは羊型の魔物でした。周りの魔物の大きさに合わせているのか、羊としてはちょっと小さ目に感じるぐらい。

 ふわもこで可愛かったから、仲間にならないかなとちょっと思ったんだけど、ナオさんと二人で獲物を狩り続けていた結果レベルが割と上がっていてですね、……あっさり止めを刺してしまった訳です。無念。


「毛を刈り取ったら何かに利用出来そうですね」

 と言ってフレイヤさんは食用にするの以外にも羊型の魔物を選り分けて、キャンプセットに付いていたナイフでさささっと毛を剃り落としてしまった。


「洗ってフェルト状にして敷物か何かにしても良いですし、紡いで毛糸にして羽織る物なりを編んでも良さそうですね」

 集めた羊型の魔物の毛を摘まみながら、取り敢えず綺麗にしましょうと浄化を掛ける。


「そう言えば、こういう風に毛を刈り取ったりとか出来るなら、お肉もちょっとずつだけ切り取って、残りをDPダンジョンポイントとして吸収したりとかしたら駄目なのかな?」

 せこいと言えばせこいけど、一匹丸ごと食用に弾くより、脚一本分ずつとか分ければ全部のDPが吸収出来るなら、そっちの方がお得だと思うのよね。


「肉体の八割が残っていれば、DPは通常通り吸収されますが、不足分が一体分を超過した時点で、一体分が清算されます」

 残念ながら。と白銀が首を振った。

 既にどなたかがそれをやって、ルールが修正された後なのだそうです。まあそうだよね、考えるよね。

 但し、角とか毛何かは素材扱いされるから、回収しても問題ないらしいです。回収しても加工するスキルを持ち合わせていないんだけども。


 兎も角も、四体分は吸収しなかったからその分を差し引いて590ポイント。という事で現在残り1,195P。

 食事用のDPの心配は数日分位はしなくて良いし、割とギリギリまでDPを使って良いとして、魔物がリポップするまで暇になっちゃったし、そろそろダンジョンの事も考えないとかなあ。




「ナオさんどうしよう?」

 問い掛けても、ナオさんはフレイヤさんが振るうお手製猫じゃらしに夢中です。フレイヤさんが万能メイドさん過ぎる件について。

 このままでは飼い主としての立場が危ういと思いつつ、そう言えばこっちに連れて来られてから、碌に遊んで上げていなかったなあと反省する。

 何だろう、ダンジョンマスターになってからのナオさんって、頼れる雰囲気を醸し出しているのよね。

 実際は気ままなお猫様なままなんだけど。


「ん~、一番下の層はダンジョンと言うより居住スペースにしたいのよね」

 このダンジョン運営は、生活は掛かっているけど生命は掛かっていない訳で。それならば、出来る範囲で快適に暮らせるようにしておきたい。

 とは言え、まだまだ潤沢とは程遠いDPだから、最低限を揃えつつ最下層に手を入れるのは後回しにしなければなんだけど。


「となると、一階部分に手を入れるか、一階と二階の間にもう一つ階層を増やすかどっちかかなあ」

 二日目に一階層増やした時が500Pだったから、次にもう一階層増やすとなると1,000P必要になる。

 現在のDPだと階層を増やしたら後は何も出来ないって事になるから、階層を増やすのはまだ早い。


「よし、一階部分に手を入れよう」

 何が出来るかは白銀に相談しないとだし、どんな風にするかは現在一階層で寝起きしているホーソーンビー達と角うさぎ達に相談かなあ。

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