第30話 DP=食卓の豊かさ
美味しいご飯を食べると気合が入るわよね。
今日頑張って
「美咲様。お願いが有るのですが」
出掛ける準備をしていたら、フレイヤさんに呼び止められた。
「もしよろしければ、獲物をDPとして吸収させてしまう前に、食用可能かどうか確認させて頂きたいのですが」
DPを使ってお肉を購入するより、獲物が食べられる種類ならそのまま捌いて調理したほうが
魔物肉……とちょっと思ったけど、コボルト達も食べる訳だし、節約できるならその方が良いだろう。
しかし、解体まで出来ちゃうなんてフレイヤさん本当に凄いわ。
「分かったわ! 頑張って狩って来るわね!」
なるべくならコボルト達や角うさぎ達じゃない獲物が居る事を祈ろう。仲間と同じ種族だと思うと、ちょっと食べにくいよね。
と、やる気満々で出掛けたのは良かったのだけれど。
ダンジョンの周りの獲物は大体レベルが1から6、高くても7ぐらいまでなんだけど、こっちは倒せば倒すだけ経験値を稼いでレベルが上がって行くのよね。
そんな訳で、四日目ともなると割と無双状態……は言い過ぎとしても、かなり楽に倒せるようになって、纏めて来ても負ける要素が無いと言うか。まあ、私は回復持ちだからちょっとへましても何とかなるし、ナオさんは素早い上に、爪の攻撃がかなり強いみたいで、かすり傷一つ無くバッタバッタと殲滅して回っていたのよね。調子良く。
「獲物が居なくなっちゃったね~。ナオさん」
ダンジョンの在る丘から円を描く様にして下りて来てたんだけど、ここで何と見えない壁にぶち当たりました。
いや、比喩的表現じゃなくてね。
進もうと思っても、何かが有って前に進めないのですよ。
むむう。
まあ、見えない壁の前でパントマイム的な事をして遊んでいても仕方が無いので、戻って白銀に聞いてみるのが早いわよね。
「と言う訳なんだけど、あの先には進めないのかな?」
「はい。新しくダンジョンが出来ると、公開されるまでは外から入って来ない様にと、ダンジョンマスターが逃げ出さない様に、隔離される様になっています」
目に見える壁を作ると、閉塞感を感じると苦情が出た事が有ったので、あの様に見えない壁に現在はなっています。質問をしたら、白銀はこっくりと頷いて教えてくれた。
まあねえ、最初に貰える1,000Pを使って街に逃げれば、冒険者に殺し殺されしなくても何とか暮らして行けると思うのよね。
「じゃあ、魔物が全然居なくなっちゃったのはどうして?」
別にダンジョンマスターとして(ナオさんがだけど)やって行くと決めたのだから、私は逃げるつもりは無いから壁の事は良いとして、獲物が居ないとDPが稼げない。
「それは、初期費用を戦闘系のスキルやボスモンスターの召喚に使って、その後魔物を倒して倒し撒くったダンジョンマスターが居まして、取得DPに制限を加えないとバランスが崩れると言う事で、エリア内に配置される魔物の数に上限が定められている筈です」
倒してから五日程立てばまた再出現する筈です。と白銀は答える。
どうせダンジョンを公開すれば、どれだけ冒険者が入るかで取得するDPの量なんて直ぐに差が出来てしまうんだけど、決められた範囲でダンジョンの組み上げを工夫するのが面白いんじゃないと言う事らしいですよ。
多分そんな事を言ったのは
しなくて良い苦労ならしない方が良いじゃない……!
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更新について。
次回より三日に一度の更新になります。詳しくは近況ノートにて。
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